リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

避妊薬の服用法にバチカンへの「忖度」があった!?

Newsweek 2019年04月22日(月)17時00分

カシュミラ・ガンダー

経口避妊薬を飲む場合、3週間服用後に1週間は休薬──常識とされているこの服用法が、 実は宗教上避妊を認めないバチカンへの配慮だったことが明らかになった。


休薬中は生理に似た出血「消退出血」が起きるが、こうした出血や休薬は健康効果がないと、 英王立産婦人科医協会の「性と生殖のヘルスケア部会」が新指針を示した。休薬中の頭痛やけいれんに悩む女性には朗報だ。


ロンドン大学のジョン・ギルボー教授は、50年代に産婦人科医ジョン・ロックが休薬を提言したのは、「ローマ法王(教皇) が避妊薬を受け入れ、カトリック教徒が使えるようにするため」と、述べている。「ロックは休薬で生理周期を確保すれば 受け入れられる」と考えたようだが、結局は拒否された。


正しく服用すれば99%避妊できるが、利用者の9%は服用開始から1年以内に妊娠する。「休薬期間前後に服薬を忘れるため」と、産婦人科医のダイアナ・マンスールは説明する。新指針は休薬期間を4日ほどに減らすことを提言している。


[2019年2月 5日号掲載]

アルゼンチン:ミソプロストール普及で変わる中絶意識

"The Drug That’s Transforming Abortion in Argentina”

Written by Amy Booth on MEDIUM
Jun 25, 2018

アルゼンチンでは、合法/違法の中絶にミソプロストールの使用が広まることで、人々の中絶に対する意識も変わりつつあるそうです。ちなみに、アルゼンチンではレイプや母体の健康上の理由による中絶は合法的であるため、この記事では、ある医師は次のように指摘しています。

“In a country where there are cases of legal abortion, it is unacceptable that these pills do not exist and a suboptimal option is being used,” (試訳:中絶を合法的に行える場合もある国で、〔中絶用の〕薬が存在せず、最適ではないオプションが使われているのは許しがたい」

…日本にも、全く同じことが言えます。

medium.com


ついでに、アルゼンチンの中絶権運動に関する情報も貼り付けておきます。

www.academia.edu

7年ぶりに審判受ける堕胎罪…韓国国民は「廃止」に傾いた

韓国の堕胎罪違憲判決について、Hankyorehが比較的詳しく報じているようなのでご紹介しておきます。ただ、いくつかの記述はうのみにせず裏を取っておく必要があるかもしれません。念のため。
japan.hani.co.kr


関連情報
韓国の裁判所、中絶禁じた刑法は「違憲」 - BBCニュース
South Korea Rules Anti-Abortion Law Unconstitutional - The New York Times
South Korea abortion ban is unconstitutional, top court rules - Los Angeles Times

韓国の刑法堕胎罪に違憲判決

2019年4月11日、韓国で中絶を選ぶ女性の権利が守られました!

「妊娠した女性の選択権を侵害する違憲的制約」として現行法を棄却した模様です。なお、韓国もまた「堕胎罪」が死文化しており、現実とのギャップが問題になったそうですが、2012年から2017年までに80名の女性や医師たちが法廷に立ち、うち1名が実刑判決を受けたというのだから、日本よりもはるかに「刑法」として機能していたようです。

2020年末までに法改正するか、しなければ刑法堕胎罪が無効になるとのこと。
www.nytimes.com

レボノルゲストレル錠1.5mg「F」製造販売承認取得に

とりあえず貼り付けておきます。

性暴力や避妊失敗で望まない妊娠を防ぐために服用する緊急避妊薬の国産ジェネリック医薬品(後発薬)が初めて発売された。東京新聞:緊急避妊 初の国産後発薬 望まぬ妊娠 救う一歩:社会(TOKYO Web)

https://www.fujipharma.jp/pdf/20190212-01.pdf

The Complicated Reality of Buying Abortion Pills Online

「中絶砂漠」地帯も多いアメリカで中絶薬をネットで買える現実とどう折り合うか

The Complicated Reality of Buying Abortion Pills Onlineという記事が4月8日付でSelf.comに載っています。時差を考えるとほぼ「今日」ですね。中絶薬が非常に安全であること、遠隔医療を受けながらの自己投薬も安全であることなどについて、アメリカのアボーション・クリニックの医師が解説しています。
www.self.com

避妊リングはタンポンの要領で

避妊リング:日本では医師が子宮内に装着 海外では女性が自分で膣内に装着

また見つけた。日本と海外で違うリプロダクティヴ・ヘルス

英語の文献で、避妊方法として"vaginal ring"というのが出てきた。「え? リングって子宮内に装着するんだよね?」と思って調べてみたら、"intrauterine ring(子宮内リング)"は1928年にドイツのGräfenberg(グレーフェンベルグ)が導入したという歴史の説明が見つかった。(日本ではしばしばリングの発案者の一人として太田典礼も並んで紹介される。)

一方、1976年にはホルモンを放出するタイプの"intravaginal ring(膣内リング)”について4人の女性に治験が行われたとことを報告する論文が見つかった。その後、1980年代をかけて様々なタイプが試されたようで、どうやら1990年代初頭にはレボノルゲストレルを放出するタイプの膣リングに落ち着いたらしい。

つまり、海外でいう「避妊リング」とは今では「膣内リング」のことなのに、日本では今でも「避妊リング」は「子宮内リング」だと認識されているように思われる。

実は膣内リングと子宮内リングでは話が大違いだ。膣内なら自分で装着したり外したりできるからだ。第一に女性の自由度が違うし、コストも価格も違ってくる。

実際、アメリカで唯一認可されているという膣内リングNUVARINGのサイトで使い方の説明を見たら、「膣への挿入は難しいように思うかもしれないけれど、タンポンと同じように自分(の手)で入れたり出したりすればよい」と説明されていました。

一方、日本家族計画協会のDr.北村は、IUD(子宮内避妊用具)を説明する中で、「IUDは子宮内避妊具、リングなどとも呼ばれる」「自分では入れられないからね」と説明しています。

ちなみに、PubMedで"intrauterus-ring"および"intravaginal-ring”で検索した結果を参考にしました。