COVID-19 has “devastating” effect on women and girls
*THE LANCETの論文
WORLD REPORT| VOLUME 396, ISSUE 10247, P301-302, AUGUST
Sophie Cousins
Published:August 01, 2020
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(20)31679-2/fulltext
中絶薬の遠隔医療に関わるところを試訳します。
オーストラリアでは、遠隔医療サービスは中絶を提供する有効な手段になっている。パンデミックが始まってほどなくオーストラリア政府は、遠隔医療サービスを健康保険制度メディケアの対象にした。妊娠早期に薬による中絶を行うための遠隔診療はパンデミックの開始後25%増加しており、距離や費用が壁になっている人のアクセスが改善されることを示している。さらに、遠隔医療サービスの利用は感染の恐れをなくし、医療への負担を減らす。2020年3月下旬、イギリスも自宅における妊娠初期の薬による中絶をいったん認める方向に動いたが、政府はこれをすぐに否定したものの、ほどなくこの政策は復活した。マリー・ストリープ・インターナショナルのグローバル・エビデンス・ディレクターであるキャサリン・チャーチは、他の国もイギリスに続くべきだと語った。「イギリスでは、遠隔医療による自宅中絶が速かに導入され、女性や少女は安全なサービスを利用できるようになったが、他の国々はイギリスほど速やかな政策転換が見られず、遠隔医療の実現に不可欠なインフラのない国も多い」とチャーチは述べた。
「医療制度を変更したり、できる限り遠隔医療モデルを採用したりすることで、安全に医療を提供し続ける方法を見つけなければならない。医療施設以外での中絶薬へのアクセスを実現しようとした国として、薬の処方を含み遠隔診察のサービスが導入された南アフリカや、アディスアババの家庭に中絶薬を提供するための看護師のパイロット計画を政府が承認したエチオピアなどがある。ネパールでは、国のガイドラインを変更することで医療施設以外でも薬による中絶を行えるようになり、インドでは政府が発行した遠隔医療ガイドラインの中で、薬による中絶も例外としていない。パンデミックに終わりは見えないが、COVID-19によって暴かれた既存の根深い不平等に対応することが期待されている。むしろ、今回浮上した格差の現実は、これまで以上に野心的な活動に拍車をかけてくれるだろう」と(国連人口基金の)カネムは語った。
「渋谷陽一といとうせいこうの話せばわかる!政治も社会も」に出演しました
このPODcastが、本日配信されています。
私が今まで書いてきたこと、その裏にあることも、いろいろと分かるような内容になっていると思いますので、よかったら聞いてみてください。渋谷さん、いとうさんの「引き出し方」がとても活きているライブになっていると思います。
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SIGHT RADIO 渋谷陽一といとうせいこうの話せばわかる!政治も社会も
No.40 なぜ日本は世界とかけ離れた“妊娠中絶”後進国なのか?
【Apple Podcast】http://urx.red/UwD7
【Spotify】 http://urx.red/VS3U
【Anchor】 https://bit.ly/3jYCkdF
Coronavirus UK: BAME women suffer harder financial hit
BAME=Black, Asian, Minority Ethnic women
BAMEは、最近のイギリスでDiversity(多様性)の文脈でよく使われている言葉のようです。Black and Minority Ethnicと説明されていたのも見つけましたが……最近はAsianで定着したのかな?
コロナウィルスでBAME女性が経済的に大打撃!
www.theguardian.com
工学部にBAME女性を!
‘Diversity is key for success’: why engineering needs more BAME women | Engineering careers | The Guardian
BAME女性にサーフィンを広めたい!
www.bbc.com
保守派が息を振り返したスロベニアで新たな中絶禁止の動きが
自己管理中絶に関連する文献(saige, WHOなど)
妊娠初期のself-managed abortionは安全に行えます
最新情報
arrow.org.my
なかでも、Global Abortion Policies Databaseがすっかり更新されていたのに気付きました! 各国比較もできるみたいです。とても便利そう!
WHOの医療者に対するガイドライン ちょっと古いけど参考までに
安全な中絶ケアと中絶後避妊の提供に医療従事者が果たす役割2015年
安全な中絶のための臨床ハンドブック2014年
米:最高裁判決で中絶の権利が守られている
コロナで変わるカナダの中絶
オンライン処方で地方の女性もアクセスできる パンデミック以降も継続
カナダでも血液検査、エコー検査等を行わないノーテスト・プロトコルの自己管理中絶(self-managed abortion)が導入されました。
パンデミック下における自己管理中絶に関するFIGOのステートメント:
www.figo.org
自己管理中絶の安全性に関するWHOのガイダンス:
Self-management of medical abortion
海外ではロックダウン中の家庭で殺害される女性が増加
フランス、イギリス、トルコetc...DV被害
COVID-19そのものによる死亡者は女性より男性の方が多いと言われている。しかし、コロナ禍で家の中に閉じ込められてしまったことで、当初から懸念されていた通り、女性に対する暴力が増えており、その結果、死亡する女性も増えていることが各国で報じられている。
フランスではロックダウンが始まってから最初の11日間にDVの報告件数が30%増え、パリでは36%増だった。フランスはヨーロッパの中で最もDVの発生率が高く、18歳から75歳まで毎年推定21万9000人の女性が現在またはかつてのパートナーからの身体的または性的な暴力被害に遭っているが、届け出るのはわずか2割だ。政府統計によれば、3日に1人の割合で女性が殺されている。
Domestic violence cases jump 30% during lockdown in France
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2020年4月15日のThe Guardianの記事によれば、女性のDV被害問題に注目しているイギリスのグループによれば、3月23日から4月12日までの3週間に家庭内暴力で16人の女性と3人の子どもが殺害された。平時でも1週間に2人の女性が殺されているが、今は1週間に5人のペースだと、アクティビストたちは警鐘を鳴らしていた。
Domestic abuse killings 'more than double' amid Covid-19 lockdown
6月15日のトルコの警察の発表によれば、1月1日から5月20日までのあいだに88,491件の家庭内暴力があり、81人の女性が殺害されたという。ところが、この暴力事件の報告件数は通常より少ないとのことで、夫が常に一緒にいるため訴え出ることのできない女性が増えている可能性がある。トルコでは被害女性を匿うシェルターは不足しており、父親や兄弟から暴力を受けた少女は「結婚していないから保護できない」と言われたという。
Violence against women in Turkey during COVID-19
(日本でも全く同様のことが起きている。配偶者もしくは同居パートナーからの暴力でないと、DV法による保護命令などの措置は使えない。18歳未満なら児童虐待として保護できるが、18歳を越えてしまうと、父親からその庇護下にある娘に対する家庭内暴力を取り締まる手段がない。)
日本語で読めるganasというサイトの4月28日の記事も見つけた。上に書いたイギリスとフランスの情報も別の情報源から引いている。
新型コロナは世界中でDVを急増させる、「フランスは30%増えた」と国連が警鐘
WHOは「暴力は必然的でなく予防可能なもの」としている。
The rise and rise of interpersonal violence – an unintended impact of the COVID-19 response on families
この記事には、イギリスのDVチャリティ団体への通話、メール、ウェブサイト訪問が順に97%, 185% 、581%増えたことも報告されている。イギリス人は何でもデータ化するのが早いなと、感心させられる。
日本政府が設置した「DV相談プラス」に関してついて、内閣府男女共同参画局が「共同参画」2020年6月号で次のように報告している。
4月20日の開設から5月19日までの1か月間(30日間)の実績は、次の通りです。
電 話 2,487件(1日平均約85件)
メール 1,048件(1日平均約35件)
SNS 864件(1日平均約30件)全国の配偶者暴力相談支援センターでは、本年4月の相談件数は、13,223件となっており、これは、昨年4月の10,295件から、約3割の増加となっています
日経新聞によると「政府はドメスティックバイオレンス(DV)対策を拡充する。8月末までの予定だった相談窓口の開設期間を2020年度末まで延長し、相談員は4人から8人に増やす。」とのことなので、これだけの数の電話に対応するのは、相当に大変だったことだろう。
ちなみに、日本の今年1~6月までの殺人件数は、被害者男女共に前年同時期に比べて減っていた(第7表 重要犯罪及び詐欺 被害者の年齢・性別 認知件数)が、強制性交等の検挙人員は536人で10.1%増えていた(第6表 重要犯罪・重要窃盗犯 都道府県別 認知・検挙件数・検挙人員 対前年比較)。(eStatで警察庁『令和2年1~6月犯罪統計』を検索。)