リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

Japan's abortion rule: Get consent from your sexual predator Requirement forces rape survivors to relive trauma

Nikkei Asia, NATSUKI OSHIRO, Nikkei staff writer October 20, 2020 23:23 JST

FUKUOKA -- When a woman in western Japan visited a hospital several years ago to seek an abortion after being sexually assaulted, she heard a shocking response from her doctor: "We cannot proceed without consent from the father."

She had noticed she was pregnant about a month and a half after she was assaulted by an acquaintance. She was so shocked that she did not report the incident. She explained her situation over and over again, but the doctor refused to budge.

"You know him, so you should be able to get him to sign off," the doctor said.

The woman searched for other medical facilities that were more understanding, but received a similar response every time. It was only a month later, with the recommendation of a support group for women like her, that she was able to finally receive an abortion.

By that point, her case was considered a second-term abortion -- a significantly riskier and costlier procedure, which she was required to report to the government as a stillbirth.

She said the process was physically and emotionally traumatizing. "Why do victims have to suffer again and again?" she said.


A consultant answers a call on a hotline for sexual violence victims in Fukuoka.
The woman is one of many sexual assault survivors denied abortions across Japan by hospitals that require consent from their attackers. Support groups have made some headway toward overturning these requirements that retraumatize victims, though they face a long road ahead.

At the end of June, the Lawyer Forum for Victim Support submitted a written request to the Japan Medical Association to stop requiring sexual predators' consent for an abortion. The document included four case studies where sexual assault survivors were blocked from the procedure due to this requirement.

The controversy is rooted in the Maternal Health Act, which requires consent from both the mother and her "spouse" to perform an abortion. Critics argue that the law pushes some doctors to seek a signoff from the male party, even in potential sexual assault cases.

Many hospitals model their paperwork for abortions on a template provided by the Japan Association of Obstetricians and Gynecologists, which has a dedicated field to be filled by a "spouse."

"The template is a big part of the problem," said attorney Sakura Kamitani, a member of the Lawyer Forum for Victim Support. "Doctors may seek consent from the attackers because they don't want to leave part of the form blank."


A consent form template provided by the Japan Association of Obstetricians and Gynecologists has a dedicated field to be filled by a "spouse."
Japanese law permits abortions for various reasons, including for pregnancies caused by rape. But doctors on their own cannot determine whether a sexual assault has taken place. At a December workshop in Tokyo, the Japan Medical Association instructed gynecologists to request documentation like a bill of indictment or a court sentence from sexual assault victims seeking an abortion.

There are also cases where the perpetrators do not recognize that they assaulted their victims.

"We want to perform the abortions, but we can't rule out the possibility that we will be sued by the male party," said JAOG Vice Chair Isamu Ishiwata.

Many sexual assault survivors are reluctant to contact the authorities. According to the White Paper on Crime published last year by the Ministry of Justice, only about 14% of sexual asault victims had brought their case to the police in the five years prior.

"Being denied an abortion at the hospital could be a form of 'second rape,'" or a secondary victimization, said Hisako Ura, head of the Fukuoka Victim Support Center.

In response to growing scrutiny over the issue, the Ministry of Health, Labor and Welfare in August sent a letter to the Japan Medical Association clarifying that the Maternal Health Act does not require consent for abortions from rapists.

Still, Kamitani believes this does not go far enough. "Doctors on the ground could keep asking for a signoff unless they are explicitly told that they must not do so," she said. Her organization is urging the Japan Medical Association to conduct a nationwide survey to assess the situation.

高所得国における中絶の方法と妊娠週数のトレンド

09/04/2019

Review: Trends in the method and gestational age of abortion in high-income

  • データの得られた高所得国24か国のうち中絶時の妊娠週数と手法の割合を計算し、過去10年間のトレンドを分析した。
  • 大半の国で内科的中絶が全中絶の少なくとも半数を占めていた。
  • 大半の国で、少なくとも90%の中絶が妊娠12週未満で行われており、ほとんどの国で妊娠9週未満に行われる中絶の比率が上昇していた。
  • 24か国中、内科的中絶が行われていないのは日本とスロバキアの2か国のみだった。
  • 24か国中、18カ国でオンリクエスト(女性の要請次第)の中絶が認められておおり、社会経済的事由が4か国(日本含む)、メンタルヘルスの低下が2か国。
  • 中絶時の妊娠週数に関するデータの得られた22か国中、妊娠9週までの比率が低かったのはカナダ(39%)、ニュージーランド(41%)、イタリア(47%)で、日本(55%)は4番目に少なかった。逆に最も比率が高かったのは、スウェーデン(84%)、アイスランド(83%)、スロベニア(82%)などだった。

下記はこの論文についてBMJにまとめられたものです。

以下、仮訳します。

高所得国の多くで10回の中絶のうち9回が12週目以前に行われる

 薬による中絶は、ほとんどの国で妊娠中絶の半分以上を占めるようになった。
 高所得国の多くでは、人工妊娠中絶の10回のうち9回は妊娠12週以前に行われており、9週未満で行われた人工妊娠中絶の割合は過去10年間で増加していることが、この種の初のレビューとしてBMJ Sexual & Reproductive Health誌のオンライン版に掲載された。
 さらに、これらの国々の多くでは、薬による中絶が妊娠中絶の少なくとも半分を占めている。
 研究者たちは、世界銀行によって高所得国と分類されている、自由な中絶法を持つ24カ国で実施された合法的な中絶の数に関する公式統計に基づいて調査を行った。
 これらの国のうち、18カ国ではオンリクエストの中絶が可能で、4カ国では社会的・経済的理由、2カ国(ニュージーランドイスラエル)では女性の精神的健康のために中絶が可能となっていた。
 研究チームは、2010年以降の直近の年、およびデータがある場合は直近の推定値より前の10年間について、妊娠期間(9週未満、9~12週、13週以上)と中絶方法に着目した。
 その結果、薬による中絶の割合が急激に増加していることがわかった。ほとんどの国で、薬による中絶は中絶手術全体の半分以上を占めており、その割合が最も高かったのはフィンランド(97%)、スウェーデン(93%)、ノルウェー(88%)と北欧の国々だった。
 北欧のほとんどの国では、薬による中絶が全体の3分の2を占めていた。西欧で薬による中絶の割合が最も高かったのは、フランス(68%)とスイス(75%)だった。イタリア(81%)を含む5カ国では、手術による中絶が中絶の4分の3以上を占めていた。しかし、デンマークエストニアイングランドウェールズ、フランス、アイスランドでは、過去10年間で薬による中絶が手術による中絶を上回るようになった。
 また、ベルギー、イタリア、ドイツでは、中絶全体に占める薬による中絶の比率はまだ小さいものの増加傾向にある。
 研究者たちは、政府や公的機関がこのアプローチを支持し、医療従事者の訓練を充実させていることがこの傾向を後押ししている国もあると考えている。
 また今回の数値では、妊娠初期に中絶が行われる傾向が進んでいることも示している。
 データが入手できる直近の2017年には、カナダの39%からスウェーデンの84%まで、ほぼすべての24カ国で3分の2以上の中絶が9週前に実施されていた。
 ほぼすべての国で、9週間前に実施される割合は増加している。中絶件数が最も少ないニュージーランドでも、10年間で20%ポイント上昇した。
 一般的に、ほとんどの中絶は10週または11週までに行われている。ほとんどの国ではほぼすべて(90%)の中絶が13週までに行われており、最も割合が高かったのはドイツ(97%)だった。
 13週以降に実施された中絶の割合が最も高かったのはオランダ(18%)で、これは、合法的な中絶のための妊娠週数制限がない国で、中絶治療を求める非居住者の数が多いためではないかと研究者は示唆している。
 「薬による中絶が承認された当時、薬による中絶は妊娠63日または9週未満で行われることが推奨されていたため、9週未満での中絶の増加は、薬による中絶の利用可能性が高まったことと密接に関係していると考えられる」と説明している。
 「この傾向は、妊娠を早期に発見する技術が増え、妊娠初期に正確な結果が得られる妊娠検査薬が普及したことにも起因しているかもしれない」と彼らは付け加えている。
 しかし、薬による中絶のための強制的な待機期間や医療従事者の良心的な反対など、他の要因によって、女性がタイムリーに中絶治療を受けることが遅れたり、妨げられたりすることもあると研究者たちは指摘している。
 例えばイタリアでは、「ローマとその周辺地域の医療従事者の82~91%が良心的拒否反応を示していると推定されており、中絶サービスはイタリアの病院の60%でしか提供されていない」。
 この研究は観察研究であり、分析に使用された中絶の統計が不完全であったり、報告されていなかったりする可能性は十分にあると、研究者たちは注意している。
 しかし、今回の調査結果は、「一部の国では、タイムリーなケアへのアクセスと方法の選択が改善されていることを示唆しているが、観察された分布が女性の好みの関数なのか、ケアに対する障壁の関数なのかを理解するには研究が必要である」と結論づけた。

abortion stories

Abortion stigmaに関する文献

忘備録

The economics of abortion and its links with stigma - PLOShttps://journals.plos.org › plosone › article › filePDF
by B Moore · 2021 · Cited by 3 — Abortion stigma can prevent women from obtaining correct ... can also lead people to travel to clinics outside their communities for ...

PLOSというジャーナルがどういう仕組みなのかちょっと調べてみた。
Choose Your Journal - PLOS


以下はPlanned Parenthood of the Pacific Southwestの#GoodbyeAbortionStigma
いろんなアボーション・ストーリ―ズにリンクしています。
Goodbye Stigma | Planned Parenthood of the Pacific Southwest, Inc.


カナダで世界初の中絶規制全廃に至った経過を分析したもの。
Leadership for success in transforming medical abortion policy in CanadaBrigid Dineley ,Sarah Munro,Wendy V. Norman
Published: January 8, 2020

The Changing Landscape of Abortion Care: Embodied Experiences of Structural Stigma in the Republic of Ireland and Northern Ireland
正規の医療機関以外で中絶薬を個人的に使用することは、国際的な現象です。中絶へのアクセス経路が新たに拡大しているにもかかわらず、中絶に対する女性の認識や経験がどのように変化しているかについては、ほとんど分かっていません。本研究では、北アイルランドアイルランド共和国で中絶サービスを受けた68人の女性の体現された経験を調査しました。本研究では、北アイルランドアイルランド共和国で中絶サービスを受けた女性68名の身体的経験を調査しました。中絶を行った人は、臨床治療のために海外に渡航するか、自宅で薬による中絶を自己管理していました。参加者の痛み、胎児、中絶方法(薬による中絶か手術による中絶か)、中絶治療を受けた環境(自宅か診療所か)に対する認識は、構造的スティグマによって形成されていました。女性は、薬の自己管理を通じてより多くの経験的知識を得て、中絶を他の自然な身体的プロセスと関連付けることができ、妊娠と胎児についての信念を再定義することができました。中絶ケアの環境についての好みや態度は、スティグマやリスクに対する認識の違いによってもたらされました。旅行者は、国内で中絶を行う際の法的・医学的リスクを強調していましたが、自己管理者は、海外で中絶治療を受ける際の社会的・経済的・感情的リスクを強調していました。リプロダクティブ・セルフケアの選択肢が増えていることを考えると、今回の調査結果は、自己管理による中絶を(脱)医療化の文献の中に位置づけ、技術的・構造的要因が痛み、胎児、方法、環境についての認識や信念を形成する方法を明らかにしています。一部の人にとっては、自己管理による薬による中絶は、治療への好ましい道筋となるかもしれません。薬物による自己管理を合法的な選択肢の一部として考慮する政策は、疎外されたグループの中絶アクセスを改善すると同時に、薬物による中絶やクリニック外の環境を好む人々に、より良い中絶体験を提供することができます。

自民党綱領の変遷

忘備録

自民党の立党宣言・綱領を見て、いくつか気づいたことを。
まず自民党綱領には、立党時のものと立党50年、立党55年の3種類がある。

立党時 1955年(昭和30年) 11月15日(立党宣言とする)党首 鳩山一郎
立党50年 2005年(平成17年) 11月22日(新綱領とする)党首 小泉純一郎
立党55年 2010年(平成22年) 1月24日(新・新綱領とする)党首 谷垣禎一民主党政権下、唯一の総理にならなかった自民党党首)
 ➡2012年(平成24年)党首安倍晋三 ➡12月 自民党政権奪取 第二次安倍内閣

これだけでも、立党以来50年間もそのままにしてきた綱領をなぜたった5年で新たに書き換えたのだろうと疑問が湧く。

そこでどう変わったのかを確認してみよう。

まず1955年の立党宣言を見てみよう。

政治は国民のもの、即ちその使命と任務は、内に民生を安定せしめ、公共の福祉を増進し、外に自主独立の権威を回復し、平和の諸条件を調整確立するにある。われらは、この使命と任務に鑑み、ここに民主政治の本義に立脚して、自由民主党を結成し、広く国民大衆とともにその責務を全うせんことを誓う。

大戦終熄して既に十年、世界の大勢は著しく相貌を変じ、原子科学の発達と共に、全人類の歴史は日々新しい頁を書き加えつつある。今日の政治は、少なくとも十年後の世界を目標に描いて、創造の努力を払い、過去及び現在の制度機構の中から健全なるものを生かし、古き無用なるものを除き、社会的欠陥を是正することに勇敢であらねばならない。

われら立党の政治理念は、第一に、ひたすら議会民主政治の大道を歩むにある。従ってわれらは、暴力と破壊、革命と独裁を政治手段とするすべての勢力又は思想をあくまで排撃する。第二に、個人の自由と人格の尊厳を社会秩序の基本的条件となす。故に、権力による専制と階級主義に反対する。

われらは、秩序の中に前進をもとめ、知性を磨き、進歩的諸政策を敢行し、文化的民主国家の諸制度を確立して、祖国再建の大業に邁進せんとするものである。

右宣言する。

ここで「民主国家」「民主政治」という言葉が2回ずつ使われている。立党宣言には8回も言及されている「民主主義」が、新綱領では2回しか見当たらず(うち1回は「真の自由主義・民主主義」で性格が異なる可能性が疑われる)、新・新年綱領では皆無になる。同様に、立党宣言・綱領には10回言及されている「福祉」という言葉(うち2回は「公共の福祉」)は、新綱領、新・新綱領には全く出てこない。立党宣言では4回言及されている「人権」は、新綱領では1回限り、新・新綱領では皆無になる。

昭和30年11月15日

自由民主党結成
 先述のとおり、終戦後の十年間は、内外ともに苦難と激動と独立体制の基礎固めの時代であり、政界もまた、自由民主陣営、革新陣営を問わず大きく動揺を続けました。

 しかし、そのような環境の中で、国民も政治家も、実に多くのことを体験し、学びました。そして、やがてその貴重な体験と反省の中から、わが国が真に議会制民主政治を確立して、政局を安定させ、経済の飛躍的発展と福祉国家の建設をはかるためには、自由民主主義勢力が大同団結し、一方、社会党も一本となって現実的な社会党に脱皮し、二大政党による健全な議会政治の発展をはかる以外にない、という強い要望が国民の間にも、政治家の間にも芽生えてきたのでした。

 このような国民世論の強い要望と、自由民主主義政党内部での反省も加わって、「保守合同」への動きは、二十八年ごろから活発化したのですが、二十九年十一月の改進党と日本自由党の合同による「日本民主党」の結成を経て、三十年五月の民主・自由両党幹部会談、同年六月の鳩山民主・緒方自由両党総裁の党首会談から、本格的な自由民主勢力の合同への動きが始まったのです。

 とくに、この鳩山・緒方会談は、「保守勢力を結集し、政局を安定させる」ことで意見の一致をみた歴史的な会談でした。

 これをきっかけとして事態は急進展し、民主・自由両党から選出された政策委員会で、新党の「使命」「性格」「政綱」づくりの作業が進められる一方、新党組織委員会では、新党の基盤になる党組織の構造の研究が行われ、その成果にもとづいて広く国民に根をおろした近代的国民政党としての「組織要綱」、党の民主的運営を規定する「党規・党則」「宣伝広報のやり方」等の立案作業が行われました。

 やがて、これら新党の根幹となるべき「政策」「組織」の基本方針の策定が完了したので、十月には政策委員会も新党組織委員会も「新党結成準備会」に切りかえられ、政党の生命ともいうべき「立党宣言」「綱領」「政策」「総裁公選規程」等が最終決定されたのです。

 最後まで問題になったのは、新党の名称でしたが、広く党内外に公募した結果、自由民主主義を最も端的に象徴する「自由民主党」に決定しました。

 こうして諸般の準備が完了し、民主・自由党の合同による「自由民主党」は、とりあえず鳩山一郎緒方竹虎大野伴睦三木武吉の四氏を総裁代行委員として、全国民待望のうちに昭和三十年十一月十五日、東京・神田の中央大学講堂において、華々しく結成大会を開き、ここに戦後最大の単一自由民主主義政党として歴史的な発足をみました。ちなみに、当時の自由民主党所属国会議員は、衆議院二百九十八名、参議院百十五名です。

 自由民主党は、まず「立党宣言」の冒頭で、「政治は国民のもの、即ちその使命と任務は、内に民生を安定せしめ、公共の福祉を増進し、外に自主独立の権威を回復し、平和の諸条件を調整確立するにある。われらは、この使命と任務に鑑み、ここに民主政治の本義に立脚して、自由民主党を結成し、広く国民大衆とともにその責務を全うせんことを誓う」とうたったあと、「われら立党の政治理念は、第一に、ひたすら議会民主政治の大道を歩むにある。従ってわれらは、暴力と破壊、革命と独裁を政治手段とするすべての勢力又は思想をあくまで排撃する。第二に、個人の自由と人格の尊厳を社会秩序の基本的条件となす。故に、権力による専制と階級主義に反対する」と、自由民主政治の基本精神を明らかにしました。

 また「党の性格」については、(1)わが党は国民政党である、(2)わが党は平和主義政党である、(3)わが党は真の民主主義政党である、(4)わが党は議会主義政党である、(5)わが党は進歩的政党である、(6)わが党は福祉国家の実現をはかる政党である、と規定し、「綱領」には、

一、 わが党は、民主主義の理念を基調として諸般の制度、機構を刷新改善し、文化的民主国家の完成を期する
一、 わが党は、平和と自由を希求する人類普遍の正義に立脚して、国際関係を是正し、調整し、自主独立の完成を期する
一、 わが党は、公共の福祉を規範とし、個人の創意と企業の自由を基底とする経済の総合計画を策定実施し、民生の安定と福祉国家の完成を期する
と定めました。

 かくして、わが国戦後民主政治の発展に画期的な歴史を画する自由民主党の歩みは、ここに始まりました。

 なお、これより一カ月早く、社会党はすでに左右両派の統一をみていましたから、いわゆる保守・革新の二大政党時代が本格的に幕あけしたことになり、日本の政治は、これを契機として全く新しい前進を示すものと期待されたのです。

なお、新綱領の中には以下のようなジェンダーの視点がいったん登場していたが、5年後の新・新綱領では微塵もなくなっている。

男女がともに支え合う社会を

私たちは、女性があらゆる分野に積極的に参画し、男女がお互いの特性を認めつつ、責任を共有する「男女がともに支え合う社会」をめざします。

さらに新・新綱領では、「人権」が消えた代わりに「自助自立する個人を尊重し、その条件を整えるとともに、共助・公助する仕組を充実する」と、自助>共助>公助の姿勢を明らかにしている。

つまり、新綱領、新・新綱領と新しいものに変わるたびに、より国民を守らない新自由主義的な方向に転換しているように思われる。

しかも、なぜたった5年で変えたのか。

我が党は平成21年総選挙の敗北の反省のうえに、立党以来護り続けてきた自由と民主の旗の下に、時代に適さぬもののみを改め、維持すべきものを護り、秩序のなかに進歩を求め、国際的責務を果たす日本らしい日本の保守主義を政治理念として再出発したいと思う。

つまり、選挙で敗北したことでなおいっそう「保守」の方向へ転換したというわけだ。もしかしたらこの時に日本会議の影響力が強まったのかもしれない。

自民党綱領はこちら

国連総会第3委員会における政府代表顧問ステートメント

国連総会第3委員会

結局は、ここでもはりぼての国内の成果を示すだけで、あとはUN-Womenへの2400万ドル支出、「紛争下の性的暴力に関する事務総長特別代表(SRSG-SVC)」の女性と少女のエンパワーメントに1100万ドル支出を誇っているだけ。合わせて38億5000万円、国内の女性のエンパワーメントに、政府はいったいいくらかけているのか。10分の1もないのでは?

国連総会第3委員会は、国連総会の6つの主要委員会の1つであり、主に社会開発や人権問題について取り扱っています。毎年秋に開催される国連総会第3委員会における「女性の地位向上」に関する議論に、我が国も積極的に参加しています。

国連総会第3委員会(社会開発)ホームページ
政府代表顧問ステートメント(外務省:国連の場における演説ホームページへリンク)

2019年第74回 議題26:「⼥性の地位向上」に関する宮崎あかね政府代表顧問によるステートメント(英文)
仮訳します。

議長。

男女共同参画と女性のエンパワーメントは、女性の可能性を最大限に引き出します。日本は、女性のエンパワーメントを継続することで、社会の最大の可能性を引き出すことができると認識しており、世界中で「女性が輝く社会」を実現することを目指して、国際協力や開発援助を強化しています。

北京宣言・行動綱領から25周年、安全保障理事会決議1325から20周年となる2020年に向けて、日本は女性のエンパワーメントを推進するための国内および国際的な取り組みをさらに強化していきます。

議長。

まず、国内での取り組みについてご紹介します。5月に「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」、6月に「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」の改正を行いました。前者は、事業主の行動計画策定義務の拡大や情報開示の充実などにより、女性の職場への積極的な参加を一層促進することを目的としており、後者は、DVや児童虐待との関連性を考慮し、関係機関の連携・協力により、配偶者からの暴力の早期発見・介入による被害者の保護を向上させることを目的としています。

また、日本は、G20のエンゲージメントグループであるW20と共同で、3月に「第5回女性のための世界会議(WAW!)」を開催し、安倍首相は、2018年から2020年までの3年間で、開発途上国の少なくとも400万人の少女と女性に質の高い教育と人材育成の機会を提供するという日本のコミットメントを表明しました。

さらに、今年のG20議長国である日本は、G20大阪サミットの傍らで「女性のエンパワーメントに関するリーダーズスペシャルイベント」を開催し、メインテーマの一つとして「女性のエンパワーメント」について議論しました。特に、(1)女性の労働参加におけるジェンダーギャップの縮小、(2)女子・女性の教育支援の強化、(3)女性のビジネスリーダーや起業家との関わりなどが強調され、これらはG20大阪リーダーズ宣言にも盛り込まれました。

また、国連との連携については、昨年、日本はUN-Womenに総額約2,400万ドルの拠出を行いました。UN-Womenのトップドナーの一つとして、日本は今後も開発途上国でのプロジェクトを支援していきます。また、先月第1回目が開催された日本とUN-Womenの政策対話の継続は、様々な分野でのパートナーシップの強化に貢献するものと確信しています。

また、日本は「紛争下の性的暴力に関する事務総長特別代表(SRSG-SVC)」の活動を一貫して支援しており、中東・アフリカにおける紛争の影響を受けた女性・少女のエンパワーメントや、紛争下の性的暴力を防止するための司法制度の改善を支援するために、現時点で総額1,100万米ドルを拠出しています。

また、日本は、関連する国や機関と協力して、「女性、平和、安全保障」の課題を推進してきました。例えば、日本はUN-WomenやUNFPAの紛争被害女性支援や紛争時の性的暴力防止を目的としたプロジェクトを支援し、アフガニスタンに対しては国際協力機構(JICA)を通じて、司法制度や捜査手続き、軍隊や警察の能力強化のための支援を行っています。


議長。

最後になりますが、日本は国連機関、加盟国、民間企業、市民社会のパートナーの協力を得て、「女性が輝く社会」の実現に向けた努力を続けています。これに関連して、第6回WAW! シンポジウムは、来年4月3日、4日に東京で開催されます。世界中からのご参加をお待ちしております。

ありがとうございました。