リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

私たちのアイデンティティが他者の指図で決められ,切りちぢめられてきたこと,あるいは私たちが自分のアイデンティティをほかの人間が切りちぢめ搾取するままに任せてきたことを,認めるのはつらい。この考え方は,長いあいだ公認されず押さえつけられてき…

かづきれいこさんって,日本人の肌の色に合わせた黄色いファウンデーションを作った美容家として多くの女性はご存じだと思いますが,彼女のステキな一面を次の記事で知ったので一部抜粋してご紹介します。 「リハビリメイク」で顔から心を解放する フェイシ…

自尊心 self-esteem ポジティブな自尊の感覚が一般的な健康の基礎であること,特に精神的,感情的,社会的な健康の基礎であることは,人間の発達を研究してきた人々のあいだでは,ほぼ普遍的に認められてきた。自尊心の欠如は,優柔不断,自己批判,無力感な…

私たちの社会が「中絶」という行為に関して一般に与えている意味づけは「犯罪」「子殺し」「恐ろしいこと」「罪深いこと」といったものだ。こうした意味づけは,しつけ,教育,メディアの情報などさまざまな形で社会の中に広く浸透している。国家や,宗教な…

1970年代のバックラッシュに対するグロリア・スタイネムの言葉 「厳しい反論は成功の尺度」Mary Thom, Inside Ms.:25 years of the magazine and the feminism movement, 1997:147.

WHO事務総長(当時)のDr. Gro Harlem Brundtlandによる7th Conference of European Health Ministersの基調演説「健康,尊厳および人権」(Oslo, Norway, 12 June 2003)より ……我々は,ヘルスケアへのアクセスに関心があるばかりではなく,サービスを必要と…

もし,女性の人格性が法によって真に尊重されることになる場合,彼女はまた中絶の決定とその決定に付与される意味の究極的な源泉でなければならないのである。彼女の決定に対する語りの権力(narrative power)をもつべきは国家ではなく女性なのだ。語りの権…

シュラミス・ファイアストーンの古典的フェミニズム論『性の弁証法』に,フェミニズムと(どちらかといえば,ヘレガース流のではなく,ポッター流の)バイオエシックスのつながりを感じさせる一節が出てくる。以下,邦訳(林弘子訳,評論社)を参考に訳し直…

ちょっと考えさせられる本があったので,抜粋訳しておく。 リプロダクティヴ・フリーダムを主張する人は,家族計画による社会的善と,特定の社会的結果を狙った家族計画を区別する必要がある。優生思想は,その目的が女性たちの産む子がより健康であるように…

故 K. Danner Clouser教授のモラリティ観です。 モラリティとは,発明たり法案化されたりするものではない。せいぜいそれは“発見”されるものである。つまりそれは何をすべきであり何をすべきでないかという我々の最も深遠な直感を解き明かし,説明し,表現し…

医師たちを代表する利益団体は,中絶の周縁化とスティグマ化に多少責任がある。 Interest groups representing doctors have been a partly responsible for the marginalization and stigmatization of abortion. (Carole Joffe, 1995:27-52.)JoffeはDoctor…

Rosalind Pollack Petchesky著 Abortion and Woman's Choice: The State, Sexuality & Reproductive Freedom から抜粋,試訳。 (Northeastern University Press, 1990)p.ix 女性の社会的地位一般が逆境に置かれているような時代に,中絶問題は政治的に活性…

かくて,「生に関する権力(bio-pouvoir)」の時代が始まった……「性」は,「生殖=人口増大」と「性的逸脱を規制する規律」の双方に関わる問題であるがゆえに,権力にとって重要性を増したともいえるのである。……近代社会は……【権力を象徴する】「血の社会」…

この日の日記は,書いている途中で間違って消してしまった。本当は,イプセンを引用しているところについて書こうとしていたのに,考えていたことを忘れてしまった。しかたがないので,別のところから抜き書きをひとつ……。 選択はまだなお,二つのもののあい…

ちょっと気になっている「第三世代の人権」について,あちこちの抜書きなどを……。 第三世代の人権人権の思想は、まず18世紀ヨーロッパの啓蒙期自然法思想にもとづいて、国家からの自由を求める自由権的基本権に出発し、19世紀国家に対して生活の保障を求める…