リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

↑の分類でいいのかな? ひろ〜い意味でのフェミニズムだと考えていいことにしよう。昨日,アメリカのリプロダクティヴ・フリーダムのことを読んで思い出していた日本のリブの話だ。

日本のリブの女性たちが,少なくとも当初,産む産まないを決定する「自由」を訴えていたことは,松香堂発行の『資料 日本ウーマン・リブ史』(全三巻)からも伺える。その背景には,学生運動の中における男女関係への怒りと,国の「人口調整」のために優生保護法を改変しようとした政府への怒りがあった。

そのことが分かる貴重な資料のひとつとして,栗原奈名子監督による「ルッキング・フォー・フミコ」というドキュメンタリー映画がある。これに関する河村友紀子さんのコメントをご紹介。

 70年代、当時の女性たちの訴えは敷かれたレールからの解放だった。しかしこれは、作品の中でも言われていたように、男性と対立する為のものではない。あくまでも、女性たちが人間として自分自身を見つめ、自分らしく生きたいと言う願いだ。現代では少しずつそのような社会になりつつある。しかし、それは今日の日本に至るまで当時の女性たちの壮絶な戦いがあった上での社会だということを、この作品は教えてくれている。
 リブに先立った学生運動の中で女性は男性の性欲処理場として扱われたこと、中絶に対する政府の身勝手な法律改悪案のことを知り、女性は人権もないただ子孫を残すだけの機械のように思えた。このような厳しい状況の中で、ウーマンリブ運動を起こした当時の女性たちは、とても勇敢で人間として格調高いと言えるのではないだろうか。
 この作品が、後に続く女性たちを力強く励まし、勇気を与えてくれれば、彼女たちの努力は改めて認められることになるだろう。私自身も女性として彼女たちを誇りに思う。

実際,最近になってリブは再評価されているようです。白状しちゃうと,わたしはたぶん子どもの頃にテレビか何かで見たせいで,「リブって何だか怖い」と思って育ってきたんです。後になって思えば,デモで揉めているシーンやピンクヘルメットの榎木美沙子さんのグループなどを否定的に描いた報道のせいだと気づいたけれど。そういうのばかりがリブじゃない。大人になってからリブへの認識を新たにしたけど,10年ちょい前,この映画を見たときには,さらに一枚ヴェールがはがれたような感じがしたものです。

わたしはどちらかといえば活字人間だけど,やっぱり映像の力はすごいよね。若い世代にも見てほしいし,いつか上映会でもしたいな……。