リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

女性差別撤廃条約には,次の規定があります。

締約国は,婚姻及び家族関係に係るすべての事項について女子に対する差別を撤廃するためのすべての適当な措置をとるものとし,特に,男女の平等を基礎として次のことを確保する。
……自由に配偶者を選択し及び自由かつ完全な合意のみにより婚姻をする同一の権利……子の数及び出産の間隔を自由にかつ責任をもって決定する同一の権利並びにこれらの権利の行使を可能にする情報,教育及び手段を享受する同一の権利

政府訳:女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約第16条1の(b)および(e)
(1979年国連総会で採択,1980年日本国署名,1985年日本国批准,2006年現在日本国は選択議定書未批准)

 なおwomenを「女子」と訳していることについて,この表現自体が差別的だとして「女性差別撤廃条約」と呼ぶべきだといった議論もあります。わたしも「女性」のほうがいいと思う。


 タイトルの言葉(文化や伝統は人権侵害の理由にならない)を冒頭に掲げていたUNFPAの文章の一部も訳してみました。

現代において,リプロダクティヴ・ライツは国々の慣行を測る尺度であり,国際社会が各国に,この権利を侵害している慣行を改めるよう要求しうる根拠でもある。国内の慣行について国際社会からの介入を拒む理由として,その国の文化や伝統が持ち出されることもある。だが,まさにそうした文化や伝統が,女性たちを従属的な地位に押し込み,その健康を損ね,彼女たちの家庭や共同体や国家への貢献度を縮小させることもあるのだ。

UNFPA 1997  http://www.unfpa/org/swp/1997/chapter1.htm (訳 塚原久美)