リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

かくて,「生に関する権力(bio-pouvoir)」の時代が始まった……「性」は,「生殖=人口増大」と「性的逸脱を規制する規律」の双方に関わる問題であるがゆえに,権力にとって重要性を増したともいえるのである。……近代社会は……【権力を象徴する】「血の社会」ではなく,身体管理と結びついた「性(セクシュアリテ)」こそが,意味をもつ社会となったのだ。……だから,性を肯定するとか,積極的に語るとかは,解放でもなんでもない。むしろ,それは性への欲望をかきたてている権力の装置(ビオ・ポリティック)にわれわれが,からめとられているという現実を映し出すだけだ。

(セクシュアリテ)の装置に対する反攻(コントル・アタック)の拠点は,欲望としてのセックスにあるのではなく,身体と快楽(les corps et les plaisirs)なのである。
桜井哲夫 『フーコー 知と権力』講談社 2003:264】