リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

今週末,SOSHIRENの合宿で開く分科会のために,資料作りに追われているなかで,次の文章が目に留まった。

堕胎は語られなかった
中絶について語ることはなかった
生むことだけが誇らしげに語られな
がら女たちは押し黙っていた
自分のからだのことよりも
人に知られることをおそれ
同じ痛みをもちながら
互いに知らぬふりをした
それが女どおしのやさしだったの
か――
痛みは語られることなく
女ひとりの歴史の中に刻まれてある
だけだった


これは,優生保護法が改正されるかもしれないという情報を知った女たちが,「'82優生保護法改悪阻止連絡会」を作り,発行したばかりのパンフレット『優生保護法改悪とたたかうために』の巻頭詩のはじめの部分である。


谷合規子著『なみだの選択:ドキュメント優生保護法』p.199-200.

わたしはもともと「連絡会」には入っていなかったので,24年前にどんな議論が行なわれ,どんな気持で彼女たちが連絡会を作ったのかを知らない。「ザ・中絶〜嘘と沈黙を超えて」なんてエラソーな題をつけてしまった分科会に,24年前を知っているSOSHIRENのメンバーも幾人かは来てくれるんだろうなぁ……と思うと,感慨深いような,嬉しいような,ちょっと怖いような……複雑な気分になる。