リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

 2006年10月27日付のThe Timesによれば,イギリスの高名な産婦人科医や心理学者たちが,中絶は女性のうつのリスクを高めると主張し,話題になっている(以下参照)。中絶の心理的ケアがおろそかにされている日本人からすれば,女性の精神的健康に関心が寄せられるのは良いことのように思われる。ところが,中絶それ自体が女性のうつを増やすことはないというのが,ポスト・アボーション・シンドローム(中絶後症候群)をめぐって交わされた激しい議論の末に,従来の欧米の心理学者や精神医学専門家たちがたどり着いた結論だった。今回の動きはそうした従来の説を覆すものである。

Abortion exposes women to higher risk of depression
By Rosemary Bennett, Social Affairs Corresponden
http://www.timesonline.co.uk/article/0,,8122-2424034.html

中絶の心理学的問題に関するProchoice Forumのページは以下参照。
http://www.prochoiceforum.org.uk/psy_issues.asp

 イギリスの中絶問題研究者で,プロチョイス・フォーラムのアクティブな活動家でもあるEllie Leeは,11月1日付のメール・ニュースの中で,こうした動きは保守派による反中絶運動の流れをくむものとみて警鐘を鳴らしている。