リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

河北新報ニュース(http://jyoho.kahoku.co.jp/member/news/2006/12/20061201t11026.htm)に載っていた話です。

 安心して出産できる体制を整えようと、宮城県石巻市石巻赤十字病院と市内の4つの産婦人科診療所が、新生児治療の連携を強化する協定を結んだ。診療所で胎児にリスクが見込まれる分娩(ぶんべん)がある場合、石巻赤十字病院の小児科医が立ち会い、迅速にケアする。全国的に産科や小児科の医師不足が深刻化する中、地域の医療機関が協力する新たな試みとして注目される。

次のように,すでに協定を利用した事例も出ているという。

 協定では、心音が弱まるなど胎児に異常があると予想される出産で、診療所の要請に応じて赤十字病院小児科の伊藤健部長が出向く。赤ちゃんに異常が認められれば同病院に救急搬送し、5月の新築移転に合わせて新設した新生児集中治療室(NICU・6床)で治療する。

 あねは産婦人科クリニックは先日、初めて協定を活用した。午前7時ごろ、胎児の心音が弱くなったとクリニックから連絡を受け、伊藤部長が帝王切開による出産に立ち会った。結果的に赤ちゃんに異常はなかったという。
 同クリニックは年間約360人の分娩を扱う。那須院長は「急変は1、2度あるかないかだが、新生児の専門家が付いていてくれればとても安心」と心強い様子だ。

 石巻赤十字病院によると、高リスクの出産は同病院で診療することが望ましいが、産婦人科(23床)は常に満床状態。受け入れ要請に応えられず、そのまま仙台圏の病院に搬送するケースもあるという。
 伊藤部長は「母胎に大きな負担を強いる仙台圏への搬送はできるだけ回避する必要がある。急変時だけでなく異常が予想されるときは自分が出向き、リスクをいくらかでも軽減できるように手伝いたい」と話している。

2006年11月30日木曜日

妊産婦や子どもへのリスクが最小になり,当人も家族も安心,地域の診療所の医師も安心,高度医療を提供する病院の側も手遅れになってから患者が送られてくるといったことがないので安心……と,いいことずくめのように思える。なのに,こうしたことが「ニュース」になること自体を嘆くべきではないだろうか。