リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

カンヌ映画祭

今年のカンヌ映画祭の結果について、asahi.comでは次のように報じています。

「近年で最も高水準」といわれたコンペティション部門は、コンペ上映の先陣を切ったルーマニア映画「4カ月、3週間と2日」が最高の栄誉のパルムドール、トリをつとめた河瀬直美監督の「殯(もがり)の森」がグランプリに。どちらも低予算映画だが、作り手の真摯(しんし)な思いが深い感動を誘う作品だった。

―中略―

 「今回は『喪』を描いた映画が多かった。全世界的に人々が迷っているんじゃないかな」と河瀬監督。

 確かに、コンペ作の大半に死の影や喪失感が漂っていた。

―中略―

 パルムドール作品の「4カ月〜」も例外ではない。堕胎が厳禁だったチャウシェスク政権末期に、ルームメイトが闇で中絶するのを助ける女子大生の物語。39歳のクリスティアン・ムンジウ監督の長編第2作で、コーエン兄弟の新作とともに星取表のトップを維持し続けた。

 中絶という「死」、独裁政権下で「失われた」時間。当時の閉塞(へいそく)感を生々しく再現しながら、そこに生きる若者の心情は、どの時代、どの国にも共通する。計算された構図の長回し撮影も見ごたえがあった。日本での配給はまだ決まっていないという。

なお、チャウシェスク政権下のルーマニアでは闇中絶で命を落とす女性が後を絶たなかったと言われている。