中絶に配偶者の同意が必要な国々

Center for Reproductive Rightsの最新FACT SHEETを眺めていて気づいたこと。

通常、中絶にまつわる法規制は、次の順でリベラルであるとみなされます。

I.女性の生命を守るためなら許容、あるいは全面禁止(69ヵ国)
II.女性の身体的健康を守るためなら許容(34ヵ国)
III.女性のメンタルヘルスを守るためならば許容(23ヵ国)
IV.社会経済的理由による許容(14ヵ国)
V.理由による制限がない(56ヵ国)

日本はIVグループに入るわけですが、通常、IVのグループに入る国々は、IIIのメンタルヘルス上の理由による中絶も認めています。しかし、日本の場合は例外的に、IVの社会経済的理由による中絶は認めていながら女性のメンタルヘルスを理由とした中絶は認められていません。

日本では、中絶の要件として、上記以外に「配偶者の同意 Spousal authorization=SAと略」が求められています。これに目を向けると、IグループでSAが必要とされているのは、マラウィ、シリア、アラブ連邦の3ヵ国、IIグループでは赤道ギニアクウェートモルディブ、モロッコ、韓国、サウジアラビアの6ヵ国です。IIIグループにはひとつもなく、IVグループでは日本と台湾のみ、Vグループではトルコ1ヵ国です。

このように見ていくと、SAの規定は、どちらかといえば中絶への許容度が低いグループに集中しており、一般に家父長制が強く女性差別が根強いとされている国々の名前が並んでいることが分かります。いわゆる先進国は日本以外にはひとつも見あたりません。ほとんどの先進諸国に並んでVグループに分類されているトルコは、一見、リベラル度が高いように思えますが、その実、中絶許容週数は10週までであり(日本は22週まで)、未成年には親の同意が必要だという規定もあります。

法の字面と実態とが乖離している国もあり、一概には言えないものの、中絶規制法におけるこのSAの要件からも日本の特異性がひとつ浮かび上がるように思います。