リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

妊婦殺害、胎児強奪の凶悪犯に死刑評決

上記タイトルで、本日付のSponichi Annexに載っていた記事です。

 米ミズーリ州の連邦地裁陪審は26日、妊娠8カ月の女性(23)の腹を包丁で刺して殺害、胎児を取り出し、自宅に連れて帰ったなどとして有罪となったリサ・モンゴメリー被告(39)に対し、死刑が妥当とする判断を下した。AP通信などが伝えた。

 検察側の主張によると、モンゴメリー被告は04年12月、妊婦の自宅を訪れ、妊婦の腹を包丁で切り裂いて胎児を取り出し、カンザス州の自宅に連れ帰った。当時、被告は実際には妊娠していなかったのに、周囲に妊娠したとうそをついて仕事をしておらず、うそを隠すための犯行だったとみられる。犯行の翌日、逮捕された時、胎児のことを自分の子供と装っていた。

 犯行後、妊婦は死亡したが、胎児は無事に成長。現在、実の父親と暮らしている。
[ 2007年10月28日付 紙面記事 ]

上記の「うそをついて仕事をしておらず、うそを隠すための犯行」というのは、少々短絡的な報道だと言わざるをえません。

この犯罪そのものは許しがたいものであり、弁護するつもりはありません。ただ、犯人がこうした凶悪な事件を起こすところまで思いつめられていった背景に、周囲からの母性役割遂行への期待があり、それを当人も内面化していたことは間違いないでしょう。

弁護側は、想像妊娠(pseudocyesis)した被告が、予定日が近づくにつれて精神状態がおかしくなっていったのだと主張していました。裁判官も情状酌量の余地があることをほのめかしていたようです。

いずれにしても痛ましい事件です。