リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

世界の中絶――WHOサイトに2007年の統計

ブラジルのニッケイ新聞(日系新聞)4月23日のサイトに「計画外妊娠が4割の実態」という記事が載っていました。そこでブラジルの中絶事情を調べようと検索していたら、WHOで世界の中絶事情(合法的中絶を受けられる理由)の2007年統計が発表されていることに気づいたので、そちらを紹介します。
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World Abortion Policies 2007

1999年の同じ報告と比べると全般に自由化が進んでいることが分かります。数値上、一箇所だけ退行が見られる(1997年に比べて2007年の発展途上国の「女性の生命を脅かす場合の中絶」を許可するパーセンテージが減っている)のは、2006年12月のニカラグア政府による中絶全面禁止が影響していると思われます。

ニカラグアの中絶禁止については、ロイターが2007年10月3日に次のように報じています。

ニカラグアの中絶禁止法で女性が多数死亡=人権団体
2007年 10月 3日 19:07 JST

 [マナグア 2日 ロイター] ニカラグアで11カ月前に中絶が全面禁止となったのを受け、少なくとも80人の女性が死亡していることが分かった。米国に拠点を置く人権団体「ヒューマンライツ・ウォッチ」が2日明らかにした。

 同団体によると、ニカラグアではいかなる中絶も禁じられているため、中絶で助かるような危険な妊娠をしている女性も死亡しているという。

 同国の議員らは、昨年11月5日に行われた大統領選挙の1週間前に、性的暴行による被害や出産による死の危険がある妊娠を含む中絶禁止法の延長を決定。これを受け、女性の人権擁護団体や医師らが怒りの声を挙げていた。

 同法律は、保守派の前政権や同国で勢力のあるローマカトリック教会が推し進めたもので、それによると、中絶した女性や中絶を手伝った医師に最低3年の禁固刑が科せられる可能性があるという。

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上記で紹介されているHuman Rights Watchの英文記事はこちらで読めます。レイプ、近親姦、命を脅かす妊娠の場合も禁ずるblanket ban on abortion(中絶全面禁止)だとあります。