リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

受精卵取り違え医師の何が問題なのか?

本日付讀賣オンラインの記事です。

受精卵取り違え医師、23人に指針違反の「複数個移植」

 香川県立中央病院(高松市)の体外受精卵取り違え問題で、同病院は25日、担当の川田清弥医師(61)が昨年4月の日本産科婦人科学会の会告(指針)に反して、複数個の受精卵を移植する「2段階胚(はい)移植」を23人の患者に実施していた、と発表した。
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 取り違えで中絶した20歳代の女性を含む11人が妊娠、うち2人は双子を出産したという。

 同病院によると、川田医師は昨年4月以降、70人の患者に受精卵の移植を実施。このうち、26〜46歳の23人には延べ28回、妊娠率を高めるため、それぞれ3個を移植した。川田医師は、昨年10月31日に取り違えの可能性があることを松本祐蔵院長に報告、院長から会告に抵触しないよう求められたが、その後も2回実施していた。

 一方、香川県は「取り違えの疑いで女性が中絶した結果は重大」などとして、川田医師を、地方公務員法の懲戒規定に準じて処分する検討を始めた。
(2009年2月26日01時13分 読売新聞)

ここでも「何」が問題であったのかがあいかわらず曖昧です。
日本産科婦人科学会の会告(指針)違反が問題であるのか?
・チェック体制不在などのシステムのずさんさが問題であるのか?
・女性たちのリプロダクティヴ・ヘルスを危険にさらす多胎妊娠をもたらす処置をしたという問題なのか?

他にも、女性に対するインフォームド・コンセントが充分であったのかどうかとか、「不妊」を「治療する」という方向への誘導はなかったのかといった問題もあるはずです。

こうした点については、今週末の研究会でも議論しようと思います。