リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

人の始期

LEC東京リーガルマインドという資格取得のための予備校の樋口正登先生が、ご自分のブログで刑法に関する講義のポイントとして次のようにまとめてらっしゃいました。こういうまとめは素人には助かります。

殺人罪
 客体である「人」は、出生を意味する(一部露出説)。胎児の場合には、堕胎罪を構成しますが、陣痛説の立場からは「堕胎罪が胎児の人工的排出であることから、陣痛が始まった以上殺人罪」とされます。

ウィキペディアの「人の始期」によれば、「陣痛説」というのは、「出産開始説(分娩開始説、陣痛開始説)」と呼ばれていますね。

判例は一部露出説を支持していたと思います。他に全部露出説、独立呼吸説などがあります。

樋口先生の堕胎罪のまとめは次のとおり。

<堕胎罪>
 自然の分娩期に先立って、人為的に胎児を母体から分離させる犯罪であり、結果的に、胎児が死亡したかどうかは問題となりません。
 なお、胎児を排出した時点で生きていたために殺害した場合には、堕胎罪と殺人罪との併合罪となります(大判大11.11.28)。

最後のは大正11年11月28日の大審院判決ですね。大審院は今の最高裁判所にあたります。それにしても、こんなに古い判例しかないのかなぁ?



追記:ウィキバーシティの刑法の講座に「生命に対する罪」という項目を見つけました。