リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

佐賀県の中絶率

2010年1月20日付けの讀賣新聞(YOL)の佐賀版に「県内の2008年度中絶率 全国最高」という記事がありました。

 県内の人口1000人当たりの人工妊娠中絶実施率(中絶率)は2008年度、13・4件に上り、1996年度以来12年ぶりに全国最高となったことが厚生労働省のまとめで分かった。ただ、中絶の詳細な理由についての統計がないことなどから背景が分からず、県は中絶率低下に向けた取り組みをどう進めるか頭を痛めている。(丸谷一郎)

 人口1000人当たりの中絶率は県内で低下傾向にあり、08年度は前年度より0・3ポイント低下して過去最低となった。全国平均は0・5ポイント低下の8・8件だった。県内では93年度以降、全国1〜3番の高い水準が続いている。このうち10代の中絶率は、06年度に全国最高の14・2件だったが、08年度は10・4件で4番目だった。

 実施件数でみても、県内は同年度、2339件で過去最低となった。年齢層別では20〜24歳の528件が最多で、25〜29歳の514件、30〜34歳の496件と続き、19歳以下も229件あった。

 県母子保健福祉課によると、母体保護法は、中絶の実施件数や理由を都道府県に届け出ることを医師に義務付けている。しかし、同時に秘密の保護も義務付けており、詳しい中絶理由や手術を受けた女性の居住地などは報告がないため、原因の分析は難しいという。

 こうした中で、県は08年6月、庁内に連絡協議会を設置し、同年9月には県内の中絶率の高さや命の大切さなどを伝えるホームページを開設。県医師会も、今年度から中学生向けの性教育を独自に行っており、若年層の啓発に尽力している。

 同課は「はっきりした原因を突き止めるのは難しいかもしれないが、正しい性知識を地道に伝えることが中絶率の低下につながるはず」と話している。
(2010年1月20日 読売新聞)

都道府県別の中絶率のワースト1は、たいてい都会ではなく地方である。避妊やアフターピルなど妊娠防止手段へのアクセスの悪さや、受験競争が比較的シビアでないこと、全般に男性優位主義が強いことなどもおそらく影響しているだろうと、私は考えている。おそらく若年層の出生率も高く、妊娠率そのものが高いんじゃないだろうか。性教育の実施状況に照らした分析ができないものかと思うが、なかなか時間が取れない。誰かやってくれませんか?

ところで、佐賀県の「県政へのご意見」で次のようなものを見つけました→こちらをクリック。

性教育に対するこういう偏見もまた、巡り巡って中絶率を上げている遠因かもしれません。きちんと情報を与えることで当人たちが抑制することはあっても、頭からの「禁止」はほとんど無効でしょう。