リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

中絶前後の心のケア

中絶に対する思いは人それぞれだけど、悩みや苦しみ、悲しみをもつ人が少なくありません。なのに、そうした人を助けるいい本はなかなかありませんよね……。以前、ここに『癒しのカウンセリング』を紹介したけれど、もはや売り切れになってしまったみたいです。残念。

癒しのカウンセリング―中絶からの心の回復
『癒しのカウンセリング』
著: キャンダス・デュ・ピュイ、デイナドヴィチ、訳:片山亜紀
平凡社 2003年

出版社に再版を希望しましょう!


なお、英語のサイトであれば、今、中絶を悩んでいる人の決断を助けるためのワークブックがあります。

Pregnant? Need Help? Pregnancy Options Workbook

逆に、中絶後のこころのケアのためのガイドブックもあります。

A Guide to Emotional and Spiritual Resolution After an Abortion

どちらもプレグナンシーオプションズというグループが作ったものです。こういう本の日本語版がほしいよね……日本の現状にもっと添ったこころのケアガイドを作りたいものです。

それ以前に、中絶に関する正しい情報が必要。

なにしろ、学者さんの中にも、違法の堕胎(abortion)と、合法的医療処置である人工妊娠中絶(termination of pregnancy)を同一視するなんて初歩的な間違いをする人が少なくありません。

中絶についてもっと自由に語れるようになるといいのにね。abortion.conversation.projectというグループ(incとあるので法人化している?)が、こんなことを言っています。

アボーション・カンヴァセーション・プロジェクトは、中絶に関して誠実に、かつ公に語る新たな道と機会を創出することで、中絶のスティグマをなくすことを目指しています。中絶提供者や女性たちの実生活での体験によって、人々は妊娠に関する決断をめぐる複雑な道徳的決断を理解し、尊重できるようになるでしょう。

抽象論による倫理議論は、そもそもの前提に何を置くかで答えが決まってしまうし、実際に悩んでいる人にはあまり役立ちません。当事者が自分にとって何が正しいのかを見極めるのをサポートするようなケアのシステムが必要とされているのでは。

このグループが作ったhealty coping after an abortionというリーフレットもあります。