リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

中絶手術で業務上過失死の容疑

以下は本日付のYomiuri ONLINEの記事です。yomiDr.というサイトで、記事のタイトルは「中絶で死亡、書類送検へ…静岡県警」です。

業過致死容疑医師、輸血準備せず


 静岡市清水区の女性(当時45歳)が2005年、同区内の産婦人科医院(閉院)で受けた中絶手術の前処置がきっかけで死亡する事故があり、静岡県警は、必要な輸血の準備をしなかったことが死亡につながったとして、執刀した60歳代の男性院長と妻の医師を業務上過失致死容疑で静岡地検書類送検する方針を固めた。

 中絶手術の死亡で医師が刑事責任を問われるのは異例。

 捜査関係者などによると、女性は05年9月に同医院で中絶手術の前処置として子宮を拡張する手術を受けた際、院長らは器具で子宮周辺を傷つけた。子宮の全摘出手術をしたが、輸血の準備を怠ったため、女性が大量出血を起こしたのに対応できず、女性を失血死させた疑いがもたれている。

 女性の遺族は、院長を相手取り約9300万円の損害賠償を求めて08年2月に静岡地裁に提訴(係争中)。09年9月に業務上過失致死容疑で院長を県警に刑事告訴した。告訴状では、子宮の全摘出手術にあたり、〈1〉出血を防止する義務を怠った〈2〉輸血の準備を怠った〈3〉全摘出手術を行う前に総合病院に転院させるべきだった――などと指摘。県警は第三者の医師にも意見を求め、輸血の準備を怠ったことのみについて責任を問うことにした。

 院長は読売新聞の取材に対し、「コメントできない」としている。

(2010 年4月15日 読売新聞)

このケースの詳細は分からないし、関連のほどは未確認ですが、J-GLOBALに森田泰央先生他による「人工妊娠中絶および腹式子宮全摘手術中に大量出血をきたした穿通胎盤の一症例」という論文があります。関心のあるかたはこちらにどうぞ。

なおWikipediaによれば、穿通胎盤というのは癒着胎盤の一種だそうです。