リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

「のむ中絶薬」ネット無許可販売者逮捕

以下は本日付北海道新聞の「どうしんウェブ」に掲載された記事です。例の「不同意堕胎事件」以後、この種の報道は初めてではないかと思います。

「のむ中絶薬」をネットで無許可販売 赤平の50歳男を薬事法違反容疑で逮捕(09/09 21:26)
 【本別】無許可で経口妊娠中絶薬(のむ中絶薬)を販売したとして、本別署は9日、薬事法違反(医薬品の無許可販売)の疑いで、赤平市西豊里町、無職大橋雅己容疑者(50)を逮捕した。

 逮捕容疑は、インターネット上の掲示板に、のむ中絶薬販売の書き込みを行い、十勝管内の男性に7月1日、1セット57錠を2万5800円で無許可販売した疑い。この中絶薬は外国製で、国内未承認。

 厚生労働省は、この中絶薬を服用すると、大量出血や細菌感染症などを引き起こす可能性があると警告している。

「1セット57錠」という数は、いったい何を意味しているのでしょう? 小売業者に卸したということなのでしょうか?

なお、記事の最後にある「この中絶薬」への警告というのは、おそらくミフェプリストン(RU-486)に対する厚労省の通知のことでしょう。そうだとして、この「警告」に関する記述が添えられているのは「違法」であることを強調するためなのだと思いますが、そこに示されているリスクの「可能性」が非常に低いということを言い添えないのは読者の誤解を招きます。

実際には、ミフェプリストン(RU-486)を利用した内科的中絶が、日本で今も標準的な掻爬という古い方法による外科的中絶よりはるかに安全性が高いということは、世界中で医学的に何度もくり返し証明されていることです。

日本は避妊ピルの導入が世界に30〜40年ほど後れましたが、新しい中絶薬(正確には妊娠阻害薬)も登場してからもはや20年。ネットの違法販売をなくすためにも、そろそろ認識を変える必要があります。世論を変えるためにも、まずはマスコミの方々に正しい知識を得ていただく必要がありそうです。