リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

中絶医の空白県出現か 全国15医師会が権限失う可能性

朝日新聞社(asahi.com)2010年12月23日付けのニュースです。冒頭を引用します。

 人工妊娠中絶手術ができる医師の「空白地域」が生まれるかもしれない。日本医師会は22日、そんな懸念が出てきたとして法改正を求めていく方針を明らかにした。中絶手術は各都道府県医師会の「指定医」に限られているが、国の公益法人改革で少なくとも15医師会が「指定」権限のない一般社団法人に移行する意向を示しているためだ。

 都道府県医師会から中絶手術ができる指定を受けている医師は全国に約7300人。医師が刑法の堕胎罪に問われないよう、母体保護法によって定められた制度だ。指定は2年に1回更新される。

 ところが、公益法人改革の一環で2008年に母体保護法が改正され、医師会が「公益社団法人」であることが要件となった。当時は都道府県医師会はすべて公益社団法人にすんなり移行するとみられていたという。

 しかし、日医が今秋、47医師会に移行先の予定を尋ねたところ、「公益社団法人」は13にとどまった。「一般社団法人」が10、「一般社団法人への移行後に公益認定を目指す」が5で、計15医師会が中絶できる医師を指定する権限を失う可能性がある。残り19は「検討中」だった。

続きはasahi.comのサイトで。

ご存じの方はご存じのとおり、母体保護法(旧優生保護法)は、都道府県の医師会に中絶医療を行える医師を指定する権限を与えています。国の機関以外にこのような業務独占権を付与するというのは、法的に異例のことだと言われています。だからこそ公益法人認定法が改正されて、一般社団法人と公益社団法人が分かれた時、母体保護法指定の権限は「公益社団法人」であるべしとされたのでしょうけど。本来は、抜本的に「医師会に指定権」を与えたこと事態を見直すべきだと思いますが、どうなるものか今後の行方を見守りましょう。