リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

モーニングアフターピルその後

年明けには正式承認されると言われていたのに、いったいどうなったのかなと思っていたら、とりあえず読売が「緊急避妊薬「ノルレボ」、今春にも発売」と報じていました。

 女性がレイプされたり、避妊に失敗したりした時に服用する緊急避妊薬「ノルレボ」が近く承認され、今春にも発売される。副作用が少なく、「従来の緊急避妊法や妊娠中絶より、体への負担が少ない」と歓迎の声があがっている。

 ノルレボは性行為後72時間以内の服用で妊娠の確率が大幅に減るという。海外48か国で承認済み。昨年末、厚生労働省の薬事分科会で承認する方針が決まった。

 これまで日本では月経周期異常などの治療薬を転用した緊急避妊法が行われていたが、嘔吐(おうと)などの副作用があった。日本家族計画協会クリニック所長の北村邦夫さんは「ノルレボなら女性は随分楽になる」と話す。

 市民団体「東京・強姦(ごうかん)救援センター」も、「人工妊娠中絶よりも体への負担が少なく、性暴力被害者にとって朗報」と歓迎する。

 ただ、緊急避妊薬の登場で、通常の避妊がおろそかになるとの懸念も。北村さんは「ノルレボを服用しても100%妊娠を防げるわけではない。緊急的に用いるものと知ってほしい」とクギを刺す。ノルレボの使用には、医師の処方が必要。健康保険は適用されない。
(2011年1月8日 読売新聞)

たしかに。今までの転用による副作用は相当にひどかったと聞いています。でも、「楽になる」からいいってわけじゃない。記事にもあるけど、保険はきかないし医師の診療も必要だからけっこう高くなるはず。いったい、いくらくらいになるのだろう……心配です。それなのに100%確実じゃないし、副作用が減るとはいえ消えるわけじゃない。毎月、緊急避妊で月経を起こさせたりしていたら健康を害します。

ノルレボのメーカーサイトにも、「緊急避妊は臨時的な“バックアップ”の手段です。通常の避妊の代わりにしてはなりません。緊急避妊を用いた人は、医師か医療提供者に自分に最も適した避妊方法を相談しましょう」とありました。特にピルを始めるタイミングなど、素人のわたしには判断がつきません。でも、日本のお医者さん、この薬のこと知っているのかなぁ……。

なお、ノルレボ(Norlevo)の有効成分はレボノルゲストレル(Levonorgestrel)だそうです。商品名は薬品名をひっくり返したのかな。アメリカでいうPLAN-Bと成分も同じなのかどうかも分かりません。PLAN-Bは、最近、One-Stepというバージョンの薬を出していて、「1錠ですむのはOne-Stepだけ」と宣伝しているので、もしかしたら日本で発売されるノルレボとは違うのかもしれません。

ところで、ノルレボもRU486に引き続きフランスの製品ですね。フランスが生殖コントロール技術に長けているのは何か理由があるのかなぁ。