リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

妊娠に関する国際意識調査

折も折、子どもの日ですが。

今日届いた『人間と性』No.267に水野哲夫さんが書いてらした記事について、ネットで調べてみたのでメモしておきます。イギリスのCardiff Universityと不妊治療の製薬会社メルクセローノが共同で実施したStarting Familiesという国際意識調査の話です。

メルクセローノ社のニュースリリース(日本語訳版)には、次のような指摘も見られます。

調査の共同リーダーであるカーディフ大学心理学部教授のジャッキー・ボイバン先生(Professor Jacky Boivin of Cardiff School of Psychology, Cardiff University)は、次のように述べています。「本調査では、世界各国の出生率の差に関する要因を明らかにする上で、有益な結果が得られました。出生率の低下を好転させることを目指す国々は、親になることについて社会的価値観を再構築し、個人の意思決定に影響を与える各国特有の問題改善に取り組んでいかなければいけません。そのための政策立案に、この調査の結果は有益な手がかりとなるはずです。」

この調査ではマスコミの情報不足と質の悪さも指摘されているのですが、現時点でざっと探した限り、日本の新聞では次の産経の記事くらいしか見あたりませんでした。(もっと話題にしてほしい・・・。)

「子供持つ欲求」日本最下位 妊娠の国際意識調査で判明(msn産経ニュース 2011.2.15)

この調査は今も続行中で、カーディフ大学のサイトでは日本語でも回答できます。

簡単な報告書Fertility The Real Story(英語)はこちらで読めます。

これだけでも、日本人が社会的に一人前になるために子供が必要だと他国の人々以上に考えながらも、不妊について周囲に相談できず、妊娠に関する正しい知識もなく、治療にも積極的になれずにいる姿が浮かび上がってくるようです。

水野さんは「科学的な性教育を十分に受けないできた日本人の姿が、国際比較という形でくっきりと見えています。」とコメントされていますが、まずは正確な情報が必要だと、わたしも思います。