本日付のふぇみんに掲載された「乳がん検診の効果は? ケイマックスの寺田真由美さんが高木学校市民講座で発言」という記事で、日米の「ピンクリボン」運動の違いが記されている。いわく、アメリカでは「患者が声を上げ始めた」ことから1990年代にはじまり、「女性たちの主体的な活動」により、様々なグッズが売られ、売り上げの使徒も明確化され、チェックシステムもあって、啓発活動や患者・家族のサポート、基礎研究、治療法の研究等にも充てられているという。一方の日本では、最初にキャンペーンを始めたのは患者団体「あけぼの会」だが、その後は医師グループ、新聞社など様々な企業とのタイアップが進み、中でも大きな団体が日本対がん協会で、「ほほえみ基金」を解説してピンクリボン運動を行っており、集まった資金の大部分が検診事業の推進に使われているそうだ。さらに、次のようなくだりがある。
2009年、アメリカ政府の予防医療部会が、50歳未満の女性のマンモグラフィーによる乳がん検診は不利益が大きい、また自己触診に死亡率を下げる効果はないなどとする推奨を出したが、日本はこうした海外の動きに対応できていない。
日本の中絶方法が世界における中絶医療の進歩に大きく後れを来していること、科学的エビデンスに基づいていないことを、わたしはあちこちで何度も指摘してきたが、どうやら乳がん検診についてもEBMが行われていない状況らしい。
この記事は「日本のピンクリボン運動が科学的根拠に基づいたものに変わっていくことを願っている」と結ばれているが、日本女性のリプロダクティヴ・ヘルスケアが、全面的に、科学的根拠に基づいたものに変わっていくことを願わずにいられない。
それにしても、中絶医療に関しては企業や医者とのタイアップであろうとなかろうと、患者や支援者が立ち上がる気配もなく、運動らしきものがほとんど存在しない。中絶そのものがスティグマ化されているため、どれほど劣悪な中絶医療を受けたとしても自業自得と見なされ、泣き寝入りするしかない現状はあまりに嘆かわしい。
むしろ多くの中絶患者は、決して自ら望んでいなかった中絶に「追い込まれている」ことを忘れてはならない。