リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

卵子も精子もiPS細胞から作れるように

本日付読売新聞朝刊1面に「iPS細胞から卵子」の見出しで掲載された記事によれば,京都大学の斎藤通紀教授らの研究チームが,世界で初めてマウスのiPS細胞(新型万能細胞)から卵子を作ることに成功したという。マウスの皮膚からiPS細胞を作り,卵子精子のもとになる「始原生殖細胞」を作って,別のマウスの胎児から取り出した卵子を育てる卵巣のもとになる細胞を一緒に培養し,成熟した雌の卵巣に移植したところ,4週間後に始原生殖細胞卵子に成長したという。さらに,作成された卵子に健康な雄から採取した精子体外受精させ,成熟した雌約10匹の卵管に移植したところ,2匹から健康なマウス3匹が誕生した。その子どもの世代も生まれたという。なお同チームは昨年,マウスの精子作成にも成功している。

特殊な手法を使っているため,この手法で人の卵子精子をつくることは難しいという。また斎藤教授は「不妊症研究への応用は,生命倫理の問題もあり,先の話だ」と語っているという。慶応大学の野瀬俊明特任教授も,「卵子にするには途中で他のマウスに移植が必要なため,人の卵子作成や不妊治療には応用できない」と述べているそうだ。