リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

自民党が少子化を加速させた: 自民党・野田聖子衆院議員インタビュー

日経ビジネスオンライン 広野 彩子  【プロフィール】バックナンバー2010年2月15日(月)

いったん増えかけた出生数が2009年に再び減少し、少子化がさらに進んだ日本。平均して女性が生涯に産む子どもの数を表す合計特殊出生率が1.57になった「1.57ショック」から20年、このトレンドはずるずると進行してきた。関心も高まり、様々な施策を講じながら、少子化はなぜ止まる気配がないのか。自民党で長年、少子化問題に取り組んできた野田聖子衆院議員に聞いた。

(聞き手は日経ビジネス記者 広野彩子)

野田 聖子(のだ・せいこ)氏

1960年生まれ。83年、上智大学国語学比較文化学科を卒業、帝国ホテルに入社。87年、岐阜県議会議員選挙に当選。国政へは、1度の落選を経て93年、衆院議員総選挙に初当選。98年、第1次小渕政権で郵政大臣。2008年、内閣府特命担当・消費者行政推進担当・宇宙開発担当大臣。6期目。少子化に関する著書に『だれが未来を奪うのか 少子化と闘う』(講談社)がある。

―― 2006年から少し反転したとはいうものの、自民党政権時代、長い間少子化が進み続けたのはなぜでしょうか?

 野田 少子化って、今も日本の中心的な課題ではないですよね。言葉は頻繁に出るけれど、少子化担当大臣が単独で権限を持っているかというとそうではない。国会で、子ども手当のいやらしさについての議論はあっても、少子化全般への議論をしているわけではない。経済界でも、取り組んでいるのは大企業の一部です。

 肝心なのは企業の9割を占める中小・零細企業ですが、ここでまったくやっていない。大企業だって経団連経済同友会で女性の幹部はゼロですから、口では色々言うけれど、心ここにあらずでは、というのが私の実感です。10年前に比べれば、男の人も少子化を口にするようになったという程度です。
 

自民党は本気の少子化対策には邪魔な政党だった
 ―― この問題については、世代間の価値観の差も激しいですね。

 私なんか、上の世代の価値観を押し付けられる政党にいるので、死にそうですよ(笑)。

 この国はずっと、自分の子どもは自分の家で育てろという価値観でした。何より、子どもには票がないけれど、高齢者には票がある。社会保障費で、これまで高齢者に使ってきたお金と子どもに使ってきたお金を見てください。あまりに違う。少子化対策なんてしていないに等しい。パイの大きさの差で言うと、児童向けはほとんどおまけレベルですから。


 この国は年寄り天国です。でもそういう認識が国民にもなく、子どもにほとんどお金を使っていないことは、広く知られてこなかった。

 子ども手当は、政権交代の導火線の1つでした。過去10年、自民党は若年対策をしていなかったし、子どもを産みたい人に対するエールもなかった。政権交代は仕方がない。悔しいけれど私も、頑張っても抜本的なことは出来ませんでした。

 自民党が与党のままだったら少子化対策は破綻していたから、民主党のお手並み拝見です。本気で少子化対策をするには自民党は本当に邪魔な政党でした(笑)。自民党の根本思想は、「(少子化は)女性のせいだ」というものです。
自民党が少子化を加速させた:日経ビジネスオンライン

 今は理屈じゃなく、ありとあらゆる手立てを使って、去年より1人でも子どもを増やす努力をしなければいけない。私は、思い切って母体保護法に手をつける、つまり中絶禁止までコミットしてもいいぐらいの気持ちです。
 例えば私もかかっていた不妊治療は、助成金が出ます。でも体外受精児は新生児約100万人のうち年間に2万人弱です。
 一方、1年間の中絶件数は公称で20数万人と言われています。保険適用外なので実際には2~3倍近い堕胎があるのではないかと、NPO非営利団体)法人などが言っています。変な話、これを禁止したら、産まざるを得ない人が出てくる。
 もちろんこれは相当極端な話で、現実には難しいです。私が言いたいのは、それぐらい「えぐい」テーマにしないとだめだと言う事です。今は、まだ議論がきれいごとで終わっています。
 でも即効性を求めるなら、20万人のうちもし半分が中絶できなければ、10万人が生まれてきますよね? そういう極端な議論もひっくるめた、本気の、包括的な議論が必要だと言いたいのです。
 でもそういう真正面の議論は出来ない。自民党はずるくて、「中絶は女性の権利だ」と言って逃げていた。でも本来、女性の権利はちゃんと避妊できることで、中絶できることではない。問題をすり替えている。
 中絶を厳格化するのと引き換えにピルの自由化をしたら、適正に子どもが生まれてくるでしょう。でもなぜかしていない。ピルが認可されるまでに数十年かかりました。バイアグラは1年ぐらいで認可されたのに(笑)。
 少子化は、今ないものを作ること。保育園を作るなど「今いる人」向けの対策を施しても増えません。
(2010.02.15 自民党野田聖子衆院議員インタビュー 日経ビジネスオンライン
野田聖子が中絶全面禁止と養子縁組制度拡大を主張 | 性道徳だけ教えても性病は予防できない

野田聖子氏の中絶禁止発言はそもそも矛盾しているか?
2013/03/01 13:30ガジェット通信


 自民党総務会長の野田聖子氏が「少子化対策は妊娠中絶問題から」と発言したことが、朝日新聞(2013年2月23日、デジタル版)で報じられて話題になった。同紙によれば、野田氏は以下のように発言したのだと言う。微妙な問題なので、全文を引用する。

「年間20万人が妊娠中絶しているとされるが、少子化対策をやるのであればそこからやっていかないと。参院選後に党内の人口減少社会対策特別委員会で検討してもらうつもりだ。堕胎を禁止するだけじゃなくて、禁止する代わりに例えば養子縁組(をあっせんするため)の法律をつくって、生まれた子供を社会で育てていける環境整備をしなきゃいけない」。

要は、人工妊娠中絶(以下、中絶と言う)が少子化の原因のひとつとなっているので、それを禁止し、禁止した場合の対策を検討していきたい、と言っているわけだ。なんとなく、もっともらしく聞こえるかもしれない。だが、野田氏の議論は、中絶をやめさせるために、少子化の話を持ち出している点で、論点がずれていると言わざるをえない。


女性が中絶する、またはせざるをえない理由はさまざまだが、一点だけ共通する理由がある。それは、望んでいないのに子どもができてしまった、という理由だ。仮に中絶を禁止した場合、望んでいない子どもを生み、育てる親が増えてしまう。それでも、日本全体では子どもが増え、少子化対策になっているからいい、と野田氏は言うのであろうか。


そもそも、中絶は防ぐに越したことはないわけだが、禁止する前にやるべきことはたくさんある。第1に、男性がきっちりと避妊をすること。とにかく、これが重要だ。第2に、女性は男性の避妊をしっかりと確認し、避妊しない男性に対して「まいっか」で済ませないこと。これらは当たり前の話だが、とりわけ若い人たちの間では意外に当たり前ではない。もちろん男女が、子どもを生み、育てることに合意したなら、避妊する必要はないが。


少子化の対策についても、中絶を禁止して子どもを無理に増やす前に、やるべきことがある。それは、子どもが生まれた場合に、子育てしやすい環境を国や自治体が整えることだ。認可保育所が決定的に不足している実状はすでに報じた。子どもを育てる環境が整っていない状況で、子どもを増やせと言うこと事態が、矛盾していると思う。

(谷川 茂)
野田聖子氏の中絶禁止発言はそもそも矛盾しているか? | ニコニコニュース

宋美玄のママライフ実況中継

2013年3月6日
医療・健康・介護のコラム
中絶禁止で少子化解消? 野田聖子氏の発言をめぐって


雛人形を眺める娘。ママは持ってなかったんだよ!

 3月に入りましたが、まだまだ寒い日が続きますね。娘は非常にアクティブなため、猫の額の我が家のリビングルームでは飽き足らず、近くの公園で歩き回って泥まみれになっています。日曜日のひな祭りは、昨年の初節句に間に合わなかった雛人形も届いて、華やかなお祝いとなりました。

 先日、自民党総務会長の野田聖子さんが、記者団に対し、「年間20万人が妊娠中絶しているとされるが、少子化対策をやるのであればそこからやっていかないと。参院選後に党内の人口減少社会対策特別委員会で検討してもらうつもりだ。堕胎を禁止するだけじゃなくて、禁止する代わりに例えば養子縁組(をあっせんするため)の法律をつくって、生まれた子供を社会で育てていける環境整備をしなきゃいけない」と語ったと報道され、大きな話題となりました。

 個人的にはまず堕胎(違法)と中絶(合法)の違いを分かっていないのは野田さんだったのか記者だったのかが気になるところでしたが、報道後、野田さんに追加取材した週刊誌の記者である知人によれば、「中絶事由の中で最も多い経済的事由の人が中絶しなくてもいいように経済援助を考えたい。そして望まない妊娠をした人が出産して養子縁組ができるようにしたい」というのが本意だったということです。経済援助も養子縁組も特別に目新しい事ではないと思いますが、母体保護法少子化対策を結びつけることはあまりセンスのない考えだと私は思います。


中絶禁止より性教育の充実を
 日本には毎年100万人ちょっとの赤ちゃんが生まれてきますが、その陰で20万人以上の赤ちゃんが人工妊娠中絶されています。人工妊娠中絶を禁止して、生みの親が育てるか養子縁組をすれば、年間20万人子どもが増える、という発想は全くの数の論理です。

 私は今まで診療してきた中で、たくさんの人工妊娠中絶にも関わってきました。中絶する人たちには皆それぞれ事情と苦悩があります。多くの産婦人科医にとって中絶という職務は非常に辛く、「この人たちがちゃんと避妊してくれていたら」と何度思ったか分かりません。

 しかし、レイプなどでない限り、妊娠というのは大人の体を持つ男女2人の責任で起こりますが、産むにしろ中絶するにしろ、体の負担は女性だけが負います。だからこそ、望まぬ妊娠はしないで欲しい、女性にはピルなどを使って自主的なバースコントロールをして欲しい、と願っているのですが、低用量ピルがなかなか承認されなかったのも、性教育に非常に消極的、いやむしろ反対しているのも他ならぬ自民党です。性感染症の予防には効果がありますが避妊法としては不十分なコンドームが唯一の避妊法だと認識されていたり、避妊効果が非常に高く子宮体がんや卵巣がんを予防するなど副効用の多いピルが未だに偏見の目を持って見られているのも、政治家たちの影響は計り知れないでしょう。

 中絶を禁止して子どもの数を無理矢理に増やすより、まず性教育の充実とピル普及を図った方が国民生活ははるかに充実するのに、と思います。


妊娠出産のリスク 強要するのか
 望まぬ妊娠をしても産み、子どもを欲する人の養子にすれば良いという考えは、現在も中絶が間に合わなかった人などが行っている方法の一つではありますが、国家として強制するのは無理があると思います。妊娠出産自体が女性の体にとって大きな負担であり、死を含めたリスクが伴うからです。

 野田聖子さんは不妊治療を実らせて一昨年、出産されました。その際に出血が多く、子宮を摘出されたと聞いています。ご自身は熱望された妊娠だったからそのリスクを許容できたのでしょうが、身をもって妊娠出産の怖さを経験された方が、望まぬ妊娠をした他の女性にそれを強要するというのは解せません。

 悲しい人工妊娠中絶を減らす方法と少子化解消は分けて考えるべきものです。いろいろ書きましたが、発言の意図と報道のされ方が異なることも多いと思うので、野田さんの真意を伺ってみたいところです。
中絶禁止で少子化解消? 野田聖子氏の発言をめぐって | ヨミドクター(読売新聞)

野田聖子議員、少子化対策として中絶禁止唱える? ネット上で賛否両論、様々な意見が
2013年02月25日19時39分


自民党総務会長の野田聖子衆院議員(52)が、妊娠中絶の禁止を唱えたと一部で報じられ、ネット上で論議になっている。発言の真意ははっきりしないが、反応は賛否に分かれている。

野田聖子議員は、佐賀県武雄市で2013年2月23日に講演しており、その後に記者団に囲まれて発言したらしい。


「禁止する代わりに、養子縁組を斡旋」
発言を報じた朝日新聞の記事によると、野田氏は、妊娠中絶が年間20万人に上るとされる中で、「少子化対策をやるのであればそこからやっていかないと」と切り出した。そして、「堕胎禁止」について、党内の人口減少社会対策特別委員会で参院選後に検討してもらうつもりであることを明かした。

禁止する代わりに、例えば、養子縁組を斡旋するための法律を作り、生まれた子どもを社会で育てていける環境整備をすることが必要だと訴えたという。

妊娠中絶について、野田氏は、日経ビジネスオンラインの10年2月15日付インタビュー記事「自民党少子化を加速させた」で持論を述べたことがある。

記事では、「私は、思い切って母体保護法に手をつける、つまり中絶禁止までコミットしてもいいぐらいの気持ちです」と明かした。そして、「自民党はずるくて、『中絶は女性の権利だ』と言って逃げていた。でも本来、女性の権利はちゃんと避妊できることで、中絶できることではない」と指摘していた。

ただ、「もちろんこれは相当極端な話で、現実には難しいです。私が言いたいのは、それぐらい『えぐい』テーマにしないとだめだと言う事です」とも言っている。

今回の発言は、さらに踏み込んで、中絶禁止に向けて動き出したということなのか。

野田氏の国会事務所に取材すると、政策秘書が不在といい、すぐに話を聞くことができなかった。


過去には、重度の障害なら堕胎認める発言も
発言の真意は不明のままだが、ネット上では、報道内容について、様々な意見が上がっている。

中絶禁止に反対する意見としては、生まれてきた子どもの立場を考慮すべきだとの声が多い。養子に入れば、差別されたり不利な扱いを受けたりするとして、「そんなに不幸な子供を増やしたいのか」といった批判がある。「望まれなかった子供が増え、虐待とかの増加につながったりしないか」との声もあった。ルーマニアチャウシェスク政権時代のように、中絶を禁止すれば捨て子や浮浪児が増えるとの声も上がった。

賛成の意見も広く見られ、「子供欲しい人に上手に渡せればね、いいね」「毎年20万人の中絶が無くなれば、人口増加して経済良好」「移民政策よりマシだろ?」といった声が出ている。一方で、レイプ被害の場合は中絶を認めないとおかしい、出生前診断で重度の障害が分かったら堕胎できるようにすべき、という意見もあった。

野田聖子氏は、不妊症に苦しみ、高齢や共働きから養子縁組も断られた結果、米国で卵子提供を受けて出産した経験がある。そのとき子どもに重度の障害があることが分かったが、アエラ2011年4月18日号のインタビュー記事では、「どんな子どもでも産むと決めていた」と明かしている。ただ、「同じ状況で中絶を選ぶ人のことは責めません」と述べており、野田氏が、どんな状況でも中絶禁止にと考えているわけでは必ずしもなさそうだ。
野田聖子議員、少子化対策として中絶禁止唱える? ネット上で賛否両論、様々な意見が: J-CAST ニュース【全文表示】