リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

「女子」差別は生きている?

ある方から、女性差別撤廃と女子差別撤廃の二つの表記があるのはなぜかと質問を受けました。「女性」の方は民間訳であり、「女子」の方が政府訳です。Convention the Elimination of All Forms of the Discrimination against Womenという条約名を訳す際、政府がWomenに「女子」をあてたのに対しクレームが出て、「女性」の方を採用した人々が一定数いたからです。

私の理解では、今と違って、当時の日本では成人女性に対して「女子」を用いる慣習はなく、この言葉ではいわゆる「おんなこども」のイメージが強かったのですね。なぜわざわざそんなイメージの言葉を「差別撤廃」を銘打った条約名に使ったのか・・・今になっても理解に苦しみます。(だからこそ、反発も強かったわけですね。)

それ以前には「婦人」という言葉がありました。これは「女」に「帚(ほうき)」と書くもので、女性を家庭役割に縛り付ける象徴として批判されたものです。

ところが、本日の朝日新聞朝刊によると、「夫は外、妻は家庭」といういわゆる「性別役割分業」を支持する声が増えているそうです。しかも20代での増加が目立つとか。やりがいのある安定した職に就くことが難しいことや、そうでなくとも過酷な労働環境の上、働きながら子育てをするのがつらい現実が背景にあるようです。

だけど、ただ今、失業中の身としては、やはり仕事がないと社会的にも、家族内の力関係のためにも、あまりよろしくない(働きたい! 仕事がほしい!! 収入がほしい!!!)という切実な思いがあります。世論でも、夫に依存的な妻が増えると、今度は女性たちのあいだから「夫から独立せねば!」という機運が高まってくるのでしょうか。だとしたら、なんだか30年くらい前の話を繰り返しているみたいだなぁ・・・と感じるのは、私だけでしょうか。