リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

日本産婦人科医会の成り立ち

優生保護法の成立と日本母性保護医協会の創設について、2013年1月9日の第61回記者懇談会の配布資料と思われる日本産婦人科医会の木下勝之会長のPDF資料「公益社団法人 日本産婦人科医会のこれから」を見つけました。その中に、医会の来し方が簡単にまとめてあったのでご紹介しておきます。

昭和 23年(1948) 優生保護法成立 各都道府県に母性保護医協会設立
昭和 24年(1949) 日本母性保護医協会 全国の優性保護法指定医師を以て組織
昭和 27年(1952) 社団法人日本母性保護医協会
平成 6年(1994) 社団法人日本母性保護産婦人科医会
平成 8年(1996) 母体保護法成立
平成 13年(2001) 日本産婦人科医会

元々は「優生保護法母体保護法)指定医」の団体であることを明記していたのが、先に示した2000年の提言の内容を実施に移すべく動くのでもなく、産婦人科医療一般に移行してしまったのは残念ですし、学会とのすみわけという意味でも疑問です。

ついでに、昨年、前日本産婦人科医会会長寺尾俊彦氏の第42回記者懇談会(2011.3.9)の資料母体保護に関わる諸問題というのも見つけました。上記年表もこれからの(もっと前からの?)転用ですね。この資料もいろいろな意味で興味深かったです。特に、母体保護法指定医師の指定権をめぐる記述で、医師法以外の「法に基づく資格」が必要な医療を行うために、「生命を左右する 母体保護法指定医師」と、「人格を左右する 精神保健福祉法指定医師」の2つを上げ、「共に高度な医学的知識と技術、高潔な人格と倫理性が求められ、研修に努める必要がある。」と述べているのが目を引きました。

全くそのとおりです。特に中絶に関わる医師は、胎児の「生命」のみならず、妊娠している女性や周囲の人々の「人生」にも影響する仕事をなさっているのですから。真に「高度な医学的知識と技術」を備えてほしいし、そのためには国際的な医療レベルに関心をもち、エビデンスのある医療を心がけていただきたいと強く願います。