リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

9歳少女の出産によりメキシコで中絶是非論再燃

Livedoorニュースにあった記事を紹介します。原文は下のリンクをクリックしてください。

メキシコで9歳少女が出産、妊娠中絶合法化への議論再び高まる」との見出しで、毎日中国経済2013年02月07日付となっています。9歳といったら小学3年生、仮に身体は発達していたとしても、同意能力が十分だったとは言いがたいでしょう。

実際、相手の17歳の少年は捜索中で、強姦や児童虐待の罪にも問われる可能性があるとのこと。こういうケースでも中絶をしてはいけないというメキシコのルールが問い直されているようです。一部引用します。

この問題はメキシコ社会で大きな話題となり、再び人工妊娠中絶の合法化への議論が高まった。メキシコでは10以上の州が人口妊娠中絶を認めておらず、特に保守的なグアナフアト州では強姦によって妊娠した場合でも中絶は認められない。勝手に中絶したとして禁錮刑を言い渡された女性もいる。

これほど幼くして妊娠・出産した場合、彼女の障がい的なリプロダクション機能への影響は出ないのか、社会的な立場はどうなるのか、精神面手の発達に問題がは生じないのか、非常に心配です。

幼い少女への「発情」を肯定し、後押しし、駆り立てるメディアへの怒りを感じます。

森美術館の「会田誠展:天才でごめんなさい」が少女を性的・暴力的対象として描いていることが話題(問題でなくて?)になっているようですが、そうした作品が大々的に公表され、肯定する人々が大勢いるということ自体、この国の少女を標的にした様々な性的搾取への「寛容性」が露呈されているように思えてなりません。金沢市には、21世紀美術館と歌劇座を抜けて犀川をわたってきた坂道の目につくところに、少女の裸婦像があります。今日のように雪で寒々としたときも裸の胸を突き出していて、あまりにも痛々しい。また、こういうものを見慣れた人々が「女は脱がせて裸を鑑賞するもの」という価値観を知らず知らずのあいだに学び取っていくのではないかと思うと、暗澹たる気持ちにならざるをえません。

小さなことから、声を上げていくしかないのではないか、その小さな声をどうやったら大きくしていけるのか・・・と、じくじく考えています。