江口聡編監訳、『妊娠中絶の生命倫理』、勁草書房、2011のサポートページを、このブログで紹介するのをうっかり忘れていました。
今日、たまたま見つけたので、遅ればせながらご紹介しておきます。
私が担当したジュディス・ジャーヴィス・トムソンの翻訳も、ちらっと翻訳ミスしてしまってて、ごめんなさい!でも、きちんと正しい情報に修正されていくことは嬉しいです!
実のところトムソンの論文は、1980年代に日本で「抄訳」されていたのですが、当時の日本人生命倫理学者の問題意識というのは、ほとんど脳死問題に占拠されており、「中絶」の問題であるのに、脳死の問題を考えるのに利する部分しか翻訳されなかった・・・と言う風に、少なくとも私には見えてしまったものです。
中絶問題を追っている者としては、完璧に誤訳だらけ。トムソンが書いている前提も、論拠も、結論もぼろぼろに削除されており、「脳死問題を考える」ために都合のよい部分と、さらに言えば「女性が中絶することは悪いこと」というイメージが感じられるような部分がかり残されたのです。
あれでは抄訳ではなくて、誤訳です。
「トムソンはごりごりの女性の自己決定権主張者」といった程度の理解(誤解?)の方は、相当に翻訳が改善された『妊娠中絶の生命倫理』をお読みください。サポートページの活用も、おわすれなく!(^-^)!
- 作者: 江口聡
- 出版社/メーカー: 勁草書房
- 発売日: 2011/10/11
- メディア: 単行本
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