リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

朝日:出生前診断、陽性率1.9% 利用者、想定の1.5倍 開始3カ月

7月18日の朝日新聞の記事より。紹介し忘れていたので今さらですが。

 妊婦の血液からダウン症など3種類の染色体異常を調べる新型出生前診断を約1500人が受け、陽性率は1・9%だった。確定診断後に少なくとも2人が人工妊娠中絶をしていた。開始から3カ月間の利用者は想定の1・5倍以上で、予約ができない病院も出ている。22の実施病院による研究チームは今後、検査を広げるか検討する。

 今年4月から3カ月間の集計によると、1534人が検査を受け、29人(1・
9%)で「陽性」と出た。このうち、羊水検査などで少なくとも6人で染色体異常が確定し、2人が中絶、1人は流産した。「陽性」だった別の2人は羊水で異常がないとわかった。残りの人の結果については、結果待ちか未報告のため不明だ。

 染色体異常の子が生まれる頻度は、妊婦の年齢とともに上がる。ダウン症では一般的に38歳では0・6%、40歳では1・2%、45歳では3・3%との報告がある。新型診断を受けた人の平均年齢は38・3歳だったが、全体の4割は40代以上だった。平均年齢の割に陽性率が高めに出た一因のようだ。「偽陽性」も混じっているほか、すでに染色体異常の子がいる人も受けており、次の子どもでも異常が出やすくなった可能性もある。

 検査を受けた理由は「高齢妊娠だから」が94・1%と最多だった。

全体の4割が40代以上ということを考えると,すでに子どもがいる人も多いだろうと推察される。意図せぬ妊娠で,「どうしても産みたい」と元々思っていなかった可能性もあるし,他の子への影響を懸念したとか,いろいろな事情が絡んできそうだ。

 この検査では、遺伝カウンセリングを義務付けている。夫婦に正しい情報をもとに検査を受けるか、結果を受けてどうするか、慎重に判断してもらうためだ。カウンセリング後に検査をやめた人は少なくとも12人いた。妊婦へのアンケートでは「提供される情報量は十分だった」との意見が大半を占め、満足度は高かったという。研究チームでは、今後、遺伝カウンセリングの効果、課題などを検証する。
≪後略≫(下司佳代子)

この「遺伝カウンセリング」のカウンセラーは,中絶後のメンタルヘルスケアもしているのだろうか? カウンセリングと言っても,インフォームド・コンセントのためのインフォーマントになっているのではないか? 「情報量は十分」というのだけでは,本当の満足感とは言えないのではないか。実態を知りたい。

また,「遺伝」の問題ではなくても,妊娠を継続するかどうかを迷う人は大勢いるだろうから,そういう人たちへの心のケアもすべきである。

「中絶」にまつわる問題をすべて女一人に抱え込ませ,孤立させるべきではない。