リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

手動吸引による中絶

Manual Vacuum Aspiration(MVA 手動吸引)と呼ばれる中絶方法があります。大型の注射器のような吸引具の先に,妊娠週数に応じた太さの柔らかいプラスチックのカニューレをつけて子宮内に入れ,内容物を吸い出すという方法です。

この方法は,リプロダクティヴ・ライツが唱道されるようになった1990年代から世界各地に広まり,昨今は発展途上国でも機械式の真空吸引より女性にやさしい方法として,その良さが見直されているそうです。

WHOが2012年に発行した『安全な中絶 第2版』でも,真っ先に「妊娠12週〜14週までの外科的人工妊娠中絶について推奨されるべき技術」として「真空吸引法」(機械式,手動式の両方が含まれる)を挙げており,しかも次のように書いています。

ルーティンにシャープ・キュレッテージによって処置を完了すべきではありません。いまだに,頸管拡張及び子宮内膜掻把術 D&C)が行われているならば,真空吸引法に切り替えるべきです。

ちなみに,シャープ・キュレッテージというのは鋭利な金属製の器具を用いている掻把術(D&C)のことを批判的に指している言葉です。

エジプトでは,次の調査によってD&CからMVAに移行すべきであること,その方が女性たちへのケアが改善され,医療コストも下がることが確かめられました。

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