リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

『安全な中絶』第2版を日本語で読めます!

すぺーすアライズという日本のボランティア・グループのおかげで,WHO(国際保健機関)が2012年に発行した“Safe Abortion 2nd version"を,今や日本語で読むことができます。他に2008年の『安全でない中絶』と『薬剤による中絶 臨床上の一般的な質問』も姉妹編として訳されています。

これらの翻訳はすべてボランティアで行われ,この文書は公共のものなのですぺーすアライズは「販売」ができません。しかし,実際には多くの人々の時間と労力と費用をかけてできあがった翻訳版ですので,ぜひすぺーすアライズにカンパをして,引き換えに印刷された冊子を入手してください。カンパ先は,下記のWomen's Action Networkの記事を参照してください。

すぺーすアライズより 刊行のお知らせ『安全な中絶 医療保健システムのための技術及び政策の手引き 第2版』・・・WHO(世界保健機関)日本語版のお知らせ・・・

WHOのサイトでPDFファイルをダウンロードすることも可能です。

安全な中絶 医療保健システムのための技術及び政策の手引き 第2版

なお,日本語版のみ,日本人関係者によるエッセーが寄せられています。

原本(英語版)も,もちろんダウンロード可能です。

Safe abortion: technical and policy guidance for health systems, Second edition

このブログで何度も私は,WHOが2012年に出した"Safe Abortion"第2版で,D&C(掻把)は"obsolete"(「時代遅れの」あるいは「廃れた」)外科的中絶方法だとされていることを主張してきましたが,私も翻訳チェックに参加したこの日本語版では「時代遅れ」と訳させていただきました。

「中絶は全身麻酔をして掻把するのが常識!」と思っている方は,目から鱗が落ちると思います。今や世界では,中絶薬を使用するか,局所麻酔による吸引中絶がスタンダードなのです。

(この冊子では,プラスチック製の使い捨てカニューレの方が主流であり,その代替物として洗浄・消毒・滅菌して使いまわせる金属製も紹介されていますが,今の日本には代替物である金属製のカニューレしかありません。これももうひとつの問題です。)

ともかく,ご一読あれ!