私にとっては必ずしも常に意見が一致するわけではない上野先生ですが、切れる方であるのは間違いありません。下記の書評で気になり、久々に読んでみようかなと思いました。元は女性セブンに載っていたようです。一部抜粋して紹介します。
マイ・ナビニュース「上野千鶴子 ピル解禁20年、バイアグラ解禁3か月の意味説く」【評者】柳亜紀(弁護士)
「弁護士にはフェミニズムの感覚に欠けた人が多い」と言うと意外だろうか。離婚裁判で、共働きなのに妻の帰宅時間が遅いと非難したり、「女の弁護士は怖い」などと酒席で盛り上がる弁護士がいるくらいだから驚くことでもないのかもしれないが、正直、ため息をつくことは多い。
1980年代の男女雇用機会均等法改正をピークに、最近ではフェミニズムは勢いをなくし、「少子化を招き、家族の解体を促す」と考える保守派が巻き返している印象がある。そんな今、ジェンダー(社会/文化的な性のあり方)研究の第一人者である著者が、自身に多大な影響を与えた11人の作家や学者を「読者にも読んでもらいたい」と、改めて論じたのが本書だ。
≪中略≫
「中絶の自由」に関する記述も興味深い。ウーマンリブ(女性解放運動)のおかげで現在の日本では事実上、中絶を選択できるが、実はいまだに女性には法的な権利がない。堕胎罪(刑法212条)が存在し、優生保護法上の「経済的理由」という例外規定の拡張解釈によって中絶できるだけ。女性が自分自身の体をどうするか決めるのは国なのだ。また、ピルが日本に紹介されてから20年も販売が許可されず、一部解禁後も医師の処方箋が必要という厳しさだったのに対し、バイアグラの解禁までの期間はおよそ3か月。〈男の性は肯定され、女の性はコントロールされる〉という言葉がずっしりと響く。
フェミニズムを学ぶ意味は、“無自覚”に気づく点にあるとつくづく実感する。「思考停止するな」という著者の熱いメッセージを一人でも多くの人に受け取ってほしい。
※女性セブン2013年10月3日号
amazon.co.jpにも好意的な評価が載っていました。ご参照ください。
- 作者: 上野千鶴子
- 出版社/メーカー: 集英社インターナショナル
- 発売日: 2013/06/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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