リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

経口避妊薬(OC)の安全性についてのとりまとめ

偶然,検索でみつけた資料の忘備録です。

厚生労働省の「低用量経口避妊薬(ピル)の承認を「可」とする中央薬事審議会答申について」
サイトはhttp://www1.mhlw.go.jp/houdou/1106/h0602-3_15.html
1999年6月2日付の報道発表資料です。

個人的に調べていたのは
経口避妊薬(OC)の安全性についてのとりまとめ」
http://www1.mhlw.go.jp/houdou/1106/h0602-3_b_15.html

同じく有効性についてのとりまとめもあります。

しかし極めつけは,
「低用量経口避妊薬の承認及び再審査期間の指定の審議に際して当審議会に意見を求められた件について(回答)」
http://www1.mhlw.go.jp/shingi/s9806/s0626-5_11.html

中央薬事審議会の南原利夫会長に宛てられた公文書で,文書番号は「公衛審第8号」平成9年6月26日付で,発行者は公衆衛生審議会の高久史麿会長となっています。

低用量経口避妊薬の承認等に当たっては、中央薬事審議会において有用性、安全性等についての慎重な審議を重ねてこられたところであり、当審議会の果たすべき役割は、(1)低用量経口避妊薬の使用が性感染症の拡大に与える影響及び(2)影響が考えられる場合の対応策について、公衆衛生的見地から検討することである。

こう位置付けて,しかも

 諸外国における経口避妊薬の使用状況と性感染症の動向及び両者の関係を分析した疫学調査結果についての検討を行った結果、これまでの研究・報告では経口避妊薬の使用と性感染症の動向との関連を明確に結論づけることは困難であるとの判断に至った。

と言いながら,なんだかんだと述べた末,次のように結んでいる。

従来我が国において避妊を目的としたコンドームの使用が広く普及していることがHIV感染の拡大防止に大きな役割を果たしてきたと考えられること、従って、国民の性感染症予防への認識が低い現在の状況が続くならば、低用量経口避妊薬の使用・普及が性感染症の今後の増加、とりわけHIV感染症の拡大に影響を及ぼす懸念があること等を述べた。また今後、低用量経口避妊薬が承認される場合には、HIV感染症を含めた性感染症予防の重要性についての国民の認識を高めるための積極的な啓発活動に取り組み、感染の拡大を予防する対策をより強化することの必要性を指摘し、具体的な対策を提言した。貴会においては、当審議会の意見を踏まえて、総合的な観点から審議されることを希望する。

でも,日本は先進国で唯一HIV感染数が増えている国だったのでは? これではつじつまが合いません。

「ピル導入を積極的には行わない」という結論先にありきの報告のように見えますね。取り急ぎ,駆け足ですが・・・。