リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

中絶後の心のケア

資料が散逸してしまいそうなので忘備録。重複も漏れもありそうだけど,とりあえず。

「人工妊娠中絶を受ける女性の援助不安と心のケアに関する研究」國清 恭子,水野 治久,渡辺 尚,常盤 洋子
The Kitakanto medical journal Vol.56, No.4(2006) pp. 303-312 北関東医学会,2006
 10代での中絶や出産が精神的なダメージ、特に抑うつと関連があるか否かについて明らかにし、10代の中絶や出産への援助の動機付けを明確にする目的で文献研究を行った。対象とする10代の人工妊娠中絶および出産に関する論文は、本邦の医学文献のデータベースである医学中央雑誌および外国の医学文献を多く含むデータベースであるMEDLINE、CINAHLを用いた。本邦では、10代・思春期の「人工妊娠中絶」と「抑うつ」との関連についての論文はなく、10 代・思春期の「出産」と「抑うつ」との関連についての論文は1件であった。本邦においては、10代・思春期の中絶や出産と「抑うつ」との関連についての研究が少ないことが明らかになった。外国文献では、10代・思春期の「人工妊娠中絶」に関しては、1970年代ごろより、欧米でPost Abortion Depressionという精神面の障害が報告されている。その後Post Abortion SyndromeやPost Abortion Traumaという表現でいくつか研究されている。しかし、人工妊娠中絶後の精神的な障害が存在するか否かについては疑問視している研究もあった。10 代・思春期の出産に関しては、depression徴候をしめすことが多く報告されており、自尊感情(self-esteem)の低さとパートナーを含めた家族関係のあり方と関連があることが示された。本邦においては、10代の中絶や出産への支援がエビデンスがないままに論じられている。今後、本邦における10代の中絶、出産における抑うつの存在を明らかにすることで、援助の動機付けをはかり、本人のみならず家族をも含めた援助を行うことが望まれる。

「10代の人工妊娠中絶および出産と抑うつとの関連」木戸 久美子,中村 仁志,林 隆,山口県立大学看護学部紀要Vol.8(2003) pp.25-32
 近年、本邦では思春期世代で人工妊娠中絶を実施する者が増加している。思春期世代の人工妊娠中絶経験者への精神面に対する支援の必要性が指摘されているが、思春期世代の人工妊娠中絶実施と精神的な障害の存在を関連づける報告は本邦ではほとんどない。本研究は本邦における思春期世代の人工妊娠中絶経験者における精神的な障害および身体的な傷害の有無とその実態を解明するための予備的研究として、医療現場で働く看護職が感じる思春期世代の人工妊娠中絶経験者の精神的な障害および身体的な傷害の有無と看護職による介入の必要性に対する認識を明らかにする。人口30万未満の地方都市にある外来受診患者の約8割が思春期世代である産婦人科単科の1病院に勤務する看護職4名を対象にフォーカスグループィンタビューを実施した。思春期世代の人工妊娠中絶後の精神的な障害および身体的な傷害の存在はうかがえなかったが、看護職としての介入の必要性は感じていたが、介入を必要とする対象者の生活環境への介入の難しさや看護職側のスキルや資格に関する問題を感じていた。

「思春期世代の人工妊娠中絶経験者における精神的な障害および身体的な傷害の有無とその実態に関する予備的研究」木戸久美子,山口県立大学看護学部紀要 Vol.10(2006) pp.3-7,2006
 若い女性の中絶体験はメンタルヘルスに大いに影響する

人工妊娠中絶後の心のケアの在り方に関する研究」佐藤郁夫(総括)(2004)
――以下の村口喜代,木村美和子(2004),渡辺尚(2004)の研究の総括

望まない妊娠をした,未婚とくに思春期女性に対する支援」村口喜代,木村美和子(2004)
 中絶前後の心のケアを実践しているクリニックより報告

「人工妊娠中絶前後の心のケア」に関するカウンセリングマニュアル」渡辺尚(2004)

上記に関連して

「「人工妊娠中絶前後の心のケア」に関するカウンセリングマニュアルの作成」渡辺 尚,村口 喜代,森松 友佳子,新井 富士美,佐藤 郁夫,松原 茂樹,鈴木 光明,日本産科婦人科學會雜誌 Vol.58, No.2(2006) p. 769(P2-532)

人工妊娠中絶を受ける女性の心のケアに関するアンケート――人工妊娠中絶を受ける女性のサポートのために」常盤洋子,水野治久,渡辺尚(2003)
 「人工妊娠中絶後の心のケア」が実際に行われていることが少ないのは,「時間がない」,「知識,経験が乏しい(方法がわからない)」などの理由からである場合が多いことがわかった。
(人工妊娠中絶後の心のケアの在り方に関する研究(分担研究者 自治医科大学 佐藤郁夫 平成15年度))

「人工妊娠中絶前後の心理的反応と心のケアに関する研究の現状と課題」常盤洋子,土江田奈留美,渡辺尚(2004)
群馬保健学紀要 24, 53-64, 2004-03
本論文の目的は, 人工妊娠中絶前後の心理的反応と心のケアに関する先行研究のレビューを行い, 人工妊娠中絶によって妊娠を終結する女性の心のケアのあり方に関する研究を概観し, 研究課題を見い出すことである。文献検索に使用されたキーワードは"abortion", "psychological", "care"であった。MEDLINE, 医学中央雑誌を中心に文献検索を行い, 過去5年間に発表された文献を選んで概観した。その結果, 人工妊娠中絶前後の心理的反応と心のケアに関する研究課題を見いだすことができた。主な研究課題として, (1)中絶前後の心理的反応と適応に関する調査, (2)人工妊娠中絶後の心のケアについて中絶前から中絶後にかけての縦断的研究, (3)人工妊娠中絶後の心のケアに関する医療現場の実態を調査, (4)ケアを実践する側の問題点の明確化をあげることができた。