リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

ゾンデを使う中絶は危険!?

昨日の続きで,子宮ゾンデの話です。

「ゾンデ」という言葉はドイツ語のsondeらしく,これに対する英語はsoundです。probeという言い方もするようです。つまり,「探索する」ということのようです。

子宮ゾンデは,子宮底までの長さを測るための器具だそうです。先日,あるお医者さまに見せていただいたのですが,金属製の先端が自在に曲がる針金を太くしたような棒状のものでした。

1970年代の産婦人科の論文誌を見ていたら,この子宮ゾンデが子宮に穴を空ける(穿孔)の最多の原因だとされていました。何の違和感もなく「す〜っ!」と入ってしまって,子宮に穴が開き,腸管を引きずり出してしまって初めて気づく…といったことが(少なくても当時は)起きる(起きていた)のだそうです。

ところが,この子宮ゾンデについて,オランダの産婦人科医に問い合わせてみたところ,「何それ?」という反応だったのです。子宮底までの距離を測るのであれば,超音波があれば十分だし,なんでそんな危険なことをやってるの?……と。そのような道具は見たこともないそうです。決して若手のお医者さんではありません。

日本の産婦人科の教科書を見ていると,子宮内容除去術(いわゆる「掻爬」+α……いずれ説明します)においては,当然,この「子宮ゾンデ」をすべきだといった雰囲気で書いているものが散見されます。子宮ゾンデは穿孔の危険があるので,やらない方がいいという日本人の論文も見ましたが。

少なくとも,どうやら子宮ゾンデの使用は慣習的なものであって,エビデンスがある医療行為ではなさそうです。

そうした慣習を見直すことで,より安全性が高まるのであれは,患者の側としては,ぜひ見直していただきたいですね。

Revised on 2015/02/13