リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

水子供養の研究書を翻訳中

数人で訳したHelen Hardacreの"Marketing the Menacing Fetus in Japan"の監訳作業を進めています。タイトルを直訳すると『日本における祟る水子の商業化』てな感じでしょうか。出版時のタイトルは考え中なので、決まったらお知らせしますね。

Marketing the Menacing Fetus in Japan (Twentieth Century Japan: the Emergence of a World Power)

Marketing the Menacing Fetus in Japan (Twentieth Century Japan: the Emergence of a World Power)

1970年頃に突然登場した水子供養が、週刊誌などでセンセーショナルに取り上げられることで、1980年代にかけて普及していった歴史をジェンダーの視点と独自の民俗学的調査で明らかにしたものです。1990年代半ばの研究書で、訳すのがすっかり遅くなってしまったのですが、今読んでも古くない、日本人の知らないことが満載されている良書です。

秋頃に出版予定。お楽しみに。

上記の本に引用されている既訳書(ティアナ・ノーグレン『中絶と避妊の政治学 戦後日本のリプロダクション政策』)も紹介しておきます。こちらは、戦後の人口爆発を抑える目的で制定された優生保護法のために、結果的に日本は「避妊ピルよりも先に中絶を合法化した」世界的でも珍しい国になっており、日本女性の健康や権利を優先しない政策が今も続けられていることを明らかにしたフェミニスト政治学者の本です。

中絶と避妊の政治学―戦後日本のリプロダクション政策

中絶と避妊の政治学―戦後日本のリプロダクション政策

  • 作者: ティアナノーグレン,Tiana Norgren,岩本美砂子,塚原久美,日比野由利,猪瀬優理
  • 出版社/メーカー: 青木書店
  • 発売日: 2008/08/01
  • メディア: 単行本
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ついでなので、自著もご紹介。

日本の人工妊娠中絶が世界的に見て立ち遅れていること(ガラパゴス化していること)を医療技術の側面から暴いた本です。それと同時に、なぜそんなことになってしまったのかを法律や歴史的経緯から明らかにし、それを海外の状況と対比し、ここからどんな未来を思い描いていくのか、どこからどう変えていくべきかを論じました。手前みそですが、この本で山川菊枝賞とジェンダー法学会の西尾学術奨励賞の2つをいただいております。

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