リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

性とスポーツ

オリンピックにはあまり関心がないんですが、非常勤で教えているジェンダー関連の授業のために、スポーツ選手とジェンダーの関連をいろいろ調べていたら、面白い資料が出てきたのでいくつか紹介します。まずは1月の47ニュースから。

IOC、性同一性障害基準緩和へ リオ五輪へ新指針

2016/1/25 08:41

 【ロンドン共同】国際オリンピック委員会IOC)が性同一性障害などトランスジェンダーの選手について、8月のリオデジャネイロ五輪性別適合手術を受けなくても出場を容認する方針であることが24日、分かった。最近の社会情勢に応じて五輪や国際大会の参加基準を緩和するもので、新たなガイドライン(指針)として勧告する。

 AP通信によると、IOCのバジェット医事部長は生まれつきの性別に違和感を持つトランスジェンダーの参加問題をめぐる解決策として「多くの国際競技連盟(IF)でルールはないが、大会から除外するのでなく、公平に参加の機会を与えることが必要」と指摘した。

このIOCの「方針」は2015年11月に委員が同意した「トランスジェンダー・ガイドライン(英文)」に示されています。同文書に続いて「女子選手のアンドロゲン過剰症」にも言及しており、競技の公平性を保つのと同時に、当人には何の責任もなく意図的でもないのに、たとえば病気等のために結果的にアンドロゲン過剰(ドーピング同様の状態)になってしまう人の権利を守るよう苦慮していることが明らかです。

このガイドラインの一部を訳して説明している記事トランスジェンダーの選手、性適合手術なしでもオリンピックに参加できるように」も見つけたので、ご紹介しておきます。

今まで国際オリンピック委員会 (IOC)では、トランスジェンダーの選手(性同一性障害など)の出場条件として性適合手術とホルモ補充療法を義務付けていましが、今週1月24日月曜日に、性別適合手術を受けなくても出場を容認するという、新しいガイドラインが発表されました。

こうした緩和策に応じて、今回のオリンピックでは性転換して出場する選手が増えるのではないかと、産経ニュースは「女として出場なら金メダル濃厚…英トランスジェンダー選手、リオ五輪で史上初の可能性」とイギリスの事例を報じています。この記事の筆者は、「IOCがこうした“規制緩和”に踏み切ったのは、世界にはこうしたトランスジェンダーやそれに準ずる選手たちが多いという事実の裏返しでもあります。」と指摘しています。

もう一つのジェンダー問題として、未だにオリンピックでは男子シンクロナイズドスイミングや新体操がないんですよね。特に前者は「ウォーターボーイズ」の影響か日本では男子もやるようになったけど、海外ではまだ浸透していないのかな? 

フィギュアスケーティングでは男子も大活躍しているのだから、東京オリンピックでは男子競技もできないのかしらん?

追記:日本スポーツとジェンダー学会の発表要旨で、興味深いものを見つけました。井谷聡子(オハイオ州立大学大学院=少なくともご発表当時)さんの「近代スポーツと性別確認検査、トランスセクシュアル・アスリート スポーツにおいて女であることを証明することの意味とは

いつの発表なのかは余裕があるときに調べることにして、とりあえず忘備録として。