リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

不妊と搔爬の関係

D&C(拡張搔爬術)はアッシャーマン症候群や子宮内膜の発育不全(薄さ)と関連する

D&C(いわゆる「搔爬」と呼ばれる中絶手術)は、不妊の原因のひとつとされるアッシャーマン症候群(子宮内膜に瘢痕のような傷ができてしまう)を引き起こしたり、子宮内膜が厚くならず妊娠を維持できない状態をもたらしたりする可能性があると指摘されています。

上記に関してPubMedで見つけた論文の情報をまとめておきます。

中絶のみならず流産後の処置としてD&Cの経験がある場合も、不妊になりやすいことが示されています。D&Cは使わず、吸引や薬で治療した場合にはそうした問題は起こりにくくなります。

次の日本語文献にも、「子宮内膜発育不全を呈する症例で原因が明らかなものとしては,クエン酸クロミフェン(CC)による抗エストロゲン作用によるものや子宮内膜掻爬術後などに起こる機械的なダメージによるものがある」とされています。

日本の搔爬は安全だと主張している産婦人科医の先生方もいますが、中絶を受ける人の中には将来的に子どもが欲しい人も多いはずだし、ましてや(望んでいた妊娠を)流産してしまう人の場合には不妊になりやすいような処置を施されるなんてことは絶対に避けたい事態であるはず。きちんとした情報を共有することで、不妊で苦しむ人が一人でも減ってほしいと思います。