リプロな日記ー産む/産まないの選択と決断、妊娠、中絶、流産…を超えて

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

「過去に人工中絶を経験…次の妊娠に影響するの?」

残念ながら、現状の日本の中絶手術では、不妊になる可能性があります

ニコニコニュースで冒頭のタイトルの記事を見つけました。この記事では、看護師さんのコメントを添えて、「人工中絶が不妊に直接関係することは考えにくいものの、不妊のリスクはゼロではない」「人工中絶のリスクには、アッシャーマン症候群(子宮内膜が癒着している状態で受精卵が着床しにくい状態)や、子宮内膜菲薄化(しきゅうないまくひはくか・子宮内膜が薄く受精卵が着床しにくい状態)が挙げられ、適切な治療が必要」と結論していますが、正確にはちょっと違います。

というのも、これらのリスクはあくまでも「搔爬」という日本の産婦人科で広く使われている外科的手術を行った場合に限られるからです。しかも、「搔爬」以外に中絶を安全に行う方法は存在しているし、実際、海外では搔爬はもはや用いられていないのが実態なのです。

これまでもくり返し書いてきましたが、「搔爬」は日本の中絶の大半を占めている妊娠12週未満の中絶の約8割で用いられている処置です。搔爬とは、子宮内膜に着床した妊娠産物をキュレットと呼ばれる器具で掻き出す処置のことをいいます。この処置はデリケートな子宮内膜に刺激を与えるため(つまり子宮内膜の表面が荒れてしまうため)、後の妊娠に悪影響がおよぶリスクが高まるのです。数々の医学文献によると、アッシャーマンシンドロームの大半は、D&C(拡張搔爬法=膣口を拡張しておいて搔爬を行う方法)が原因だとされています。

搔爬を用いずに機械あるいは器具を用いた吸引のみですませる方法であれば、そうしたリスクは下がります(ただし吸引の場合も、子宮内に器具を差し込まなければならないため、搔爬よりはるかに確率は下がりますが、子宮内膜を痛める可能性がゼロではありません)。

また、日本では未だに導入されていない中絶薬を用いて中絶を行うのであれば、子宮内に器具を入れる必要はないため、全く問題がなくなります。

ちなみに、海外では「搔爬」はもはや行われていません。また、WHOでも「拡張搔爬法」を「より安全な吸引か中絶薬に置き換えるべき」だと2012年以降指導しています。

不妊に至る恐れのある中絶方法を使い続けていることに、問題があると考えられます。一人でも不妊で苦しむ女性を減らすためにも、中絶医療が改善されることを願っています。