リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

中絶ケアの担い手「アボーション・ドゥーラ」

助産師はもちろん普通のボランティア女性も

日本の「助産師」さんは「お産ケア」に徹していますが、いい悪いではなく、海外のmidwivesはちょっと立ち位置が違うことをご紹介します。

10年以上前に、「国際助産師会の中絶ポリシー変更
国際助産師会の中絶ポリシー変更 - リプロな日記」をご紹介しました。このとき、国際助産婦連盟は助産婦が中絶ケアも手掛けるという立場を明らかにしました。

International Confederation of Midwivesの中絶に対する立場を確認した文書は次のとおりです。

Position Statement:Midwives’ Provision of Abortion-Related Services
https://www.internationalmidwives.org/assets/files/statement-files/2018/04/midwives-provision-of-abortion-related-services-eng.pdf

翻訳版も見つかりました。https://www.nurse.or.jp/nursing/international/icm/basic/statement/pdf/Midwives_Provision_of_Abortion_Related_Services_jp.pdf

世界の助産婦による中絶ケアの実態については、昨年、次の論文が公開されています。
[Full text] Abortion-related care and the role of the midwife: a global perspectiv | IJWH

結論から言うと、海外では助産婦が、リプロダクティヴ・ヘルス&ライツの擁護者として、中絶ケア(事前ケア、手動吸引や薬剤による中絶そのものの実施、事後ケア)にも関わることが少なくないようです。

なお、お産の導き手(広い意味での介助者)として「ドゥーラ」という役割がありますが、アメリカでは助産婦さんに限らずボランティアのabortion doula(中絶ドゥーラ)も活躍しているようです。中絶ドゥーラの日常が紹介されているサイトをいくつかご紹介します。

'Unconditional support': A day in the life of an abortion doula'Unconditional support': A day in the life of an abortion doula | PhillyVoice

アメリカでは中絶手術(吸引で行われます)のさなかと、事後のケアにたずさわるボランティア活動もあります。
I'm an Abortion Doula—Here's What I Do and See During a Typical ShiftI'm an Abortion Doula—Here's What I Do and See During a Typical Shift | SELF

ボランティアの中絶ドゥーラは中絶に関する感情や身体の問題に対応し、情報提供することで女性たちを支えます。

BBCでも、中絶に立ち会うドゥーラを派遣する非営利団体のボランティアが紹介されています。「出産ドゥーラ」は高価になりがちだけど、中絶を求める女性は圧倒的に低所得の場合が多いので、無料でドゥーラを派遣するボランティアサービスが必要だとされています。
I've been an ‘abortion doula’ 2,000 times - BBC News

クライアントにはすでに子どものいる女性も多く、中絶する「子ども」の話をしたがる場合が多いことに驚かされるといいます。また、6人に1人はティーンエイジャーで、自らも14歳の息子がいるこのボランティアの女性は、そうした少女たちのことを気にかけています。

上述の女性はDoula Projectという団体に属しているそうです。このボランティア団体の紹介は次にあります。
The Doula Project

妊娠全般のサポートをしているようですが、アボーション・ケアが活動の中心になっているようです。