リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

「胎嚢」「胎芽」まで「胎児」と呼ばれる日本

この国では超早期の超音波検査画像が蔓延している

「Dr.はせじゅんの超音波診断-日本産婦人科医会」の連載を興味深く拝読しておりましたところ、7回目の「分娩予定日決定が肝」に、次のような記述が出てきました。

欧米では妊娠11-13が最初の超音波検査である場合が多く、妊娠10週以前に経腟超音波を使って予定日を決定する習慣がありません。ですので、海外のガイドラインは、本邦におけるものと若干違います。

ああ、人型になる前の画像は欧米では一般的ではないのか! なるほどです。

それでは、中絶を受ける女性の気持ちへの影響も日本とはかなり違ってきそうです。

なにしろ、医学的には「胎嚢」「胎芽」と呼ばれる時期の映像まで、日本では「胎児」と呼ばれることが多いような気がします。

このドクターの連載でも、妊娠4-7週で「胎児臓器が形成される」とか、8-10週でも「胎児の様子を見る」などと表現されています。

妊娠4週半で、まだ「肥厚した内膜のみ」しか見えない時でさえ……。

これは、超早期の超音波写真が存在するからこそ、口にできる説明ではないでしょうか。

こういうところに技術大国ジャパンの威力を発揮するのではなく、中絶技術の改善で世界をリードしてほしかったなぁ……と情けなく思います。