韓国の中絶規制小史
韓国の堕胎罪違憲判決までの経緯を調べていました。アクティビストたちが「リプロダクティブ・ジャスティス」(生殖に関する社会的公正)を裁判所に理解させたということが大きな勝因のようですが、「少子化対策」としての「中絶規制強化」を政府があからさまに行ったことが国民の怒りを買ったという側面もありそうです。年表を貼っておきます。
1953年 刑法(270条堕胎罪)
269条と270条によると、中絶をした女性や中絶を実施した医療者は最大禁固2年の刑に処せられる。1961-1996年 家族計画プログラム
このプログラムは国家経済発展のために韓国の総出生率の引き下げを狙ったもので、このプログラムを通じて政府は女性たちに不妊手術や中絶手術を受けることを奨励した。1973年 母子保健法(14条 人工中絶手術の一部許可)
同法は家族計画プログラムを支援するために制定された。強姦や近親姦、遺伝病の場合に中絶を一部許可することにより、家屋計画プログラムを正当化する機能をもっていた。2005年 高齢化社会における低出生率に関する枠組み法
この法が通過したことで、政府の方針は反出生主義から出生主義に方向転換した。2005年 違法中絶の防止に関するマスタープラン
このプランは母子保健法を修正することで制定された。2012年 刑法260条と270条に対する憲法裁判所判決
憲法裁判所は、中絶を犯罪化している法律は合憲だとの判決を下した。2018年 医療サービス法
医療サービス法は、違法の中絶を実施した医師に対する罰則を強化するために修正された。2019年 刑法260条および270条に対する憲法裁判所の判決
憲法裁判所は、中絶禁止は違憲であり、中絶法は2020年12月31日までに修正すべきだとの判決を下した。
(Sunhye Kim et. al, 2019より)