リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

ヤーズフレックス配合錠

最長で120日間連続して服用することが可能な避妊ピルーー危険情報追加!

この記事の後でヤーズフレックスにはいろいろな問題があることが判明しました。
海外の長期連続使用避妊ピルは91-dayが常識らしい - リプロな日記ー産む/産まないの選択と決断、妊娠、中絶、流産…を超えてを参照してください。以下は、この「問題」が判明する前に書いたものです。記録として残しておきますが、利用をお考えの方は必ず7月5日の注意喚起を読んでください。

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このピルは月経困難症の治療薬として用いられていますが、副効用として避妊できます。この薬を発売しているバイエル薬品では、次のように説明しています。

ヤーズフレックス配合錠は、卵胞ホルモン(エストロゲン:E)と黄体ホルモン(プロゲスチン:P)の2つの有効成分が配合されたEP配合剤※1)のうち国内で初めて連続服用ができるようになったLEP製剤※2)です。副作用を軽減するために卵胞ホルモンの含有量は20μgまで抑えられており「超低用量LEP製剤」とも呼ばれています。

※1 EP配合剤:卵胞ホルモンと黄体ホルモンを配合したホルモン製剤
※2 LEP製剤:低用量のEP配合剤(Low dose estrogen-progestin)

ヤーズフレックス配合錠は、排卵を抑えることで、子宮内膜症が厚くならないようにして痛みの原因となる物質の産生を抑えて、子宮内膜症の痛みや月経困難症の症状を和らげます。

ヤーズフレックス配合錠は、国内で初めて連続服用が可能となったLEP製剤です。連続服用することにより定期的な休薬期間の回数を少なくし、休薬期間に多くみられるホルモン関連症状(骨盤痛、頭痛、腹部膨満感、乳房痛など)の減少が期待できるほか、28日周期で服用する場合に比べ、出血の回数および痛みを伴う出血日数の減少が期待できます。

LEP製剤とは低用量のエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲスチン(黄体ホルモン)が配合されている薬のことで、どちらも妊娠時に分泌される女性ホルモンです。これを服用することで、からだが「妊娠中」と誤解するために、それ以上、妊娠することが妨げられ、結果的に生涯の月経回数が減るために子宮内膜症等のリスクも減るようです。

次のような新薬紹介記事が日経BPに出ていました。

【新薬】ドロスピレノン・エチニルエストラジオール(ヤーズフレックス)
120日間にわたり月経を抑えられる超低用量ピル
2017/04/21 北村 正樹(東京慈恵会医科大学附属病院薬剤部)

 2017年4月21日、女性ホルモン製剤のドロスピレノン・エチニルエストラジオール(商品名ヤーズフレックス配合錠)が発売された。本薬は、2016年12月19日に製造販売を取得しており、今年2月15日に薬価収載されている。適応は「子宮内膜症に伴う疼痛の改善、月経困難症」。1日1回1錠を経口投与する。24日目までは出血の有無にかかわらず連続投与するが、25日目以降に3日間連続して点状出血を含む出血が認められた場合は、4日間休薬する。また、連続投与が120日目に達した場合も、同様に4日間休薬する。これらを1サイクルとして、以後同様に連続投与と休薬を繰り返す。次サイクルは、休薬後に出血が終わっているか否かに関わらず開始する。

 子宮内膜症は、子宮内膜またはその類似組織が子宮外に異所性に存在することにより生じ、月経痛、月経以外の下腹痛、腰痛、性交痛などの疼痛を引き起こす。子宮内膜症に対する薬物療法としては、手術療法および非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、卵巣機能抑制および子宮内膜増殖抑制作用を持つ低用量エストロゲン・プロゲスチン(LEP)製剤などの内分泌療法が治療選択肢として推奨されているが、日本において子宮内膜症の適応を有するLEP製剤は無かった。

 月経困難症は、月経に随伴して起こる下腹痛、腰痛、腹部膨満感、悪心、頭痛、脱力感などの病的症状である。子宮内膜症など骨盤内に器質性病変のある「器質性月経困難症」(続発性月経困難症)と、子宮内膜に増加したプロスタグランジンの関与が考えられる「機能性月経困難症」(原発性月経困難症)に大別される。治療には、従来から女性ホルモンの中用量製剤(ソフィア、プラノバール、ルテジオンなど)が使用されてきたが、ここ10年で黄体ホルモン剤のドロスピレノンと卵胞ホルモン剤のエチニルエストラジオールを配合したヤーズ配合錠などの低用量製剤も使用可能になっている。このヤーズ配合錠は、実薬24錠とプラセボ4錠からなる1サイクル1シート包装で「月経困難症」の適応を有し、2010年11月より臨床使用されている。

 ヤーズフレックスは、既存のヤーズ配合錠と同成分・含量を有する実薬28錠を1シートとしたLEP製剤である。しかし、1サイクルの日数がヤーズ配合錠は28日(実薬24日とプラセボ4日)であるのに対し、ヤーズフレックスは最大124日(実薬120日と休薬4日)と長期間になっている。ヤーズ配合錠などのLEP製剤では、1サイクルの投与期間を28日よりも延長することにより、消退出血が軽減すると期待されている。そのため海外では、ヤーズ配合錠においても28日以上を1サイクルとする用法用量が汎用されており、ヤーズフレックスはそのような状況に応える形で発売された。服薬中は月経を抑えられるので、1年間の月経を数回にするなど、患者が自身で月経のタイミングをコントロールすることが可能になっている。

 ヤーズフレックスは、国内第3相試験にて有効性および安全性が確認されている。同試験は2012年からは子宮内膜症患者を対象に、2013年からは月経困難症患者を対象に行われた。2016年7月までで、オーストラリア、ドイツ、コロンビア、チリおよびロシアの5カ国で販売されている。 

 薬剤使用に際しては、国内第3相臨床試験から臨床検査値異常を含む副作用が66.8%に認められていることに十分注意する。主な副作用は、性器出血(28.6%)、プラスミノーゲン上昇(16.8%)、不規則な子宮出血(12.7%)、悪心(10.1%)などであり、重大な副作用としては血栓症が報告されている。