リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

ミソプロストールの自己投与による中絶:女性たちのためのガイド

International Women's Health Coalitionの情報

https://iwhc.org/resources/abortion-self-administered-misoprostol-guide-women/ より一部翻訳

ミソプロストールは、いわゆる「中絶薬」(ミフェプリストンとミソプロストールのセット=「ミフェ・ミソ」)の第二薬なのですが、単独でも流産を引き起こせることで知られています。そのため、ミフェプリストンが未認可の国々で、次善の策として中絶に使われることがあります。

WHOもミフェ・ミソを推奨しながら、この推奨方法が得られない場合の代替策として条件付きでミソ単独の使用を認めています。

以下の文書に出て来る「200mcgを4錠」というのは、800μgを3時間おきに投与するWHOの「中絶の薬理的管理(Medical Management of Abortion)」で説明されている処方と基本的に同じです。

ミソプロストールの自己投与による中絶:女性たちのためのガイド

2016年11月更新

はじめに
 ミフェプリストン-RU486-が1980年代の終わりに初めて導入されて以来、世界中で何百万人もの女性たちが安全に自らの妊娠を終わらせてきた。過去20年間の研究で、妊娠初期の薬剤中絶について非常に効果的な複数の処方法が確認されている(1)。保健センターで服用する場合も、自宅で女性自身が服用する場合でも、多くの女性たちが手動吸引や搔爬(D&C)よりもピルを用いる方法が好ましいとしてでいる。

 ミフェプリストンは中絶薬として登録されているため、中絶が厳しく規制されている国々のほとんどでその販売や使用は許可されていない。それに引き換え、ミソプロストールは潰瘍の薬であるため、世界中で様々な名前で登録されている(2)(3)。ミソプロストールの単独使用でも、妊娠初期の中絶で推奨された方法で服用すれば75-85%の確率で成功することがこれまでの研究で明らかにされている。ミフェプリストンと組み合わせた場合よりも効果は劣るものの、ミソプロストールは女性にとって安全でアクセスしやすい代替法を提供している。


ミソプロストールを用いて流産を引き起こすためのガイドライン
 ミソプロストールは典型的には200mcgのタブレットとして薬局で販売されている。妊娠初期の中絶であれば4錠服用することがお勧めで、完了するまでにさらに4錠(まれに8錠)が必要になることもある。ミソプロストールは最終月経から9週以内、通常の最終月経の第1日目から63日未満に服用することが望ましい。ミソプロストールは妊娠してからできるだけ早めにのんだ方が望ましく、より安全で、より効果が高くなり、より痛みが少なくなる。ミソプロストールは妊娠中期以降にも使えるが、合併症のリスクは高まる(下記を参照)。IUDを入れている女性は、ミソプロストールを服用する前にIUDを除去しておく必要がある。


妊娠12週までのガイドライン

  • ステップ1:200mcgのタブレット(またはそれに匹敵する量)を口内の舌下または頬袋の中に入れる。タブレットを口内にとどめるようにして溶かし、20~30分後に残っているものをのみ下す。

 このプロセスの最中に、通常の月経よりやや重めの出血が生じることがあるが、それは問題ない。大きめの月経用ナプキンを多めに準備しておくと良い。

 ステップ1の後、早ければ30分後くらいから子宮収縮(腹痛)が始まることがある。3時間経っても出血や収縮が始まらない場合には、次の第2ステップに進む(以下に示す)。

 出血が起きただけでは、中絶が完了したかどうかは分からない。月経パッドなど血液を受け止めたものをよく観察することで、妊娠が終わったかどうかを確かめることができる。ただし、非常に初期の妊娠の段階では、胚組織と通常の月経血の塊との区別がつかないために妊娠修了を確認できないこともある。たとえば、妊娠6週(すなわち最終月経の第1日目から数えて6週目)の場合、胎嚢は米粒程度である。妊娠8週になるとインゲンマメ大くらいになるため、もう少し目に止まりやすくなる。
 妊娠10週~12週の中絶では、頭殿長が30mmから8cmになるため、流産したことが明らかに見てとれる。

 最初のミフェプリストン投与から3時間以内に流産が起きたかどうか定かでない場合には――たとえば、月経パッドの上に胎嚢が確認できなければ、あるいは腹部の痛みが収まることなく継続している場合には――ステップ2に進む。

  • ステップ2:さらに200mcgのタブレットを4錠以上、舌下または頬袋の中に保ち、20~30分かけて薬を溶かす。
  • ステップ3:2回目の服薬後3時間経っても中絶が終わらない場合には、さらに200mcgのタブレットをさらに4錠服用してください。

 妊娠12週までの妊娠の大半は、ミソプロストールを最初に服用してから数時間以内に中絶が完了する。一般的に、24時間以内に4人に3人の女性が流産を経験するが、もっと時間のかかる人もいる(4)。うまくいかない場合には、最初からもう一度繰り返してみてもよい。

REFERENCES
(1)Gynuity Health Projects. 2009. “Providing Medical Abortion in Low-Resource Settings: An Introductory Guidebook.” Second Edition. New York: Gynuity. http://gynuity.org/resources/info/medical-abortion-guidebook/
(2)A. Faúndes et al. 2007. “Misoprostol for the termination of pregnancy up to 12 completed weeks of pregnancy.” International Journal of Gynecology & Obstetrics 99 (Supplement 2): S172-S177. http://www.misoprostol.org/downloads/misoprostol-journals/IJGO_1triabn_Faundes.pdf
(3)Maria M. Fernandez et al. 2009. “Assessing the global availability of misoprostol.” International Journal of Gynecology and Obstetrics 105:180-186. https://www.researchgate.net/publication/24200771_Assessing_the_global_availability_of_misoprostol
(4)World Health Organization. 2012. “Safe Abortion: Technical and Policy Guidance for Health Systems.” Second Edition. Geneva: WHO. http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/70914/1/9789241548434_eng.pdf?ua=1

なお、薬を用いた中絶は妊娠中期も可能だが、子宮が過敏になるため使用する薬の量は減らさなければならない。