朝日新聞 北村邦夫氏の解釈に異議あり!
[中絶の実態 「胎児に申し訳ない」 受ける女性の思い]というタイトルとは別に、10代の少女の中絶率の急増と急減について、わたしなりの解釈を。
1970年代から徐々に増えて行った10代の中絶が、1996年から急上昇していったのは、黒沼克史氏が著書で用いた「援助交際」という言葉の影響が大きいだろうと、わたしは見ています。
現代用語の基礎知識の1996年の新語・流行語大賞に選ばれた際、「“売春”という実態を、言葉のマジックで「援助交際」と言い繕う忌まわしい流行語である。」とのコメントが添えられています。ルーズソックスも同じ年に話題になっていますね。おそらくこの頃から、少女たちに性的な視線を浴びせる大人の男性が増えたのではないかと思います。
さすがにこれについては問題視されました。なにしろ当時、売春を規制していた売春防止法には、買った側の男性への罰則がなかったからです。1999年には児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(児童買春法)が施行され、ようやく買春男性に対する罰則が定められました。
並行して各都道府県も「淫行条例」を制定するようになりました。1980年代から何度も議論されながら流れていた東京都でさえも、2005年にようやく条例ができました。同じころに出会い系サイトの規制も行われています。おそらく、そうした一連の努力の結果が、10代の中絶減少に表れているのだと思います。
草食男子という言葉を最初に使ったのは深澤真紀さんで2006年のこと、その後、2008年に森岡正博さんが『草食系男子の恋愛学』という本を出して広まり、2009年の流行語大賞トップ10に入っています。なので、これが中絶率低下に寄与したとは、わたしはあまり思っていません。
むしろ、緊急避妊薬のノルレボが2011年に発売されたことは、その後の中絶率低下にけっこう影響したのではないでしょうか。
2013年のブログでもこの件に言及しています。以下をご覧ください。
okumi.hatenablog.com