リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

コロナと妊娠:子どもだけではないはず

コロナでふくらむ妊娠相談

安倍晋三総理は3月2日より小中高の臨時休校を要請、さらに4月7日緊急事態宣言を発令し、埼玉、千葉、東京、神奈川、大阪、兵庫、福岡の7都府県を対象に4月7日~5月6日の1カ月間外出自粛が要請された。

これに伴い、中高生など若者の妊娠増加が見られることが4月頃から明らかになってきた。

10代の妊娠が激増!? 「ヤルことなくて…」 彼氏の家に入り浸り…バイトもなくてパパ活…それでも「必ず避妊はしろ!」(So-net 2020年4月21日)


中高生の望まぬ妊娠、コロナ休校で懸念 相談が過去最多(朝日新聞5月12日)
親が育てられない子どもを匿名で預かる「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)を運営する慈恵病院(熊本市西区)の妊娠相談窓口に対し……4月に寄せられた相談件数592件のうち……、中高生と判明したのは75件で、全体の約13%。……2019年4月は515件中58件(約11%)、18年4月は555件中52件(約9%)だった。
*中高生と判明していない数は、2018年503件、2019年457件、2020年517件で、昨年同月と比べて訳1.1倍。


「居場所がない」居候先で妊娠の19歳、寮追い出された24歳…悩む女性(西日本新聞 2020年5月15日)
「にんしんSOS東京」は2~4月、前年同期の約1・6倍に当たる1841件の相談を全国から受けた。特に10代の相談が急増し、従来の3割に対し6割を占めた。

昨年同期の10代以外の相談は805件、今年は1105件で約1.4倍の計算になる。

<新型コロナ>少女のSOS急増「望まぬ妊娠したかも」(東京新聞 2020年5月15日)
思いがけない妊娠や出産に悩む女性から二十四時間、相談を受け付けている神戸市の一般社団法人「小さないのちのドア」。普段は新規の十代の対応件数は月十件ほどというが、休校措置が取られた三~四月の二カ月間では、計約百件と急増した。……青少年の性教育など啓発活動に取り組むNPO法人「ピルコン」(東京都)にも、十代からの相談が月平均五十件だったのに対し、三~四月は計約二百件と倍増している。


コロナ禍、10代の妊娠相談急増 休校や外出自粛が影響か(神戸新聞2020年6月18日)
望まない妊娠やさまざまな事情で子どもを育てられない女性の相談窓口「小さないのちのドア」(神戸市北区)に、10代からの妊娠相談が急増している。……西尾和子施設長によると、全国一斉休校が始まった2月末以降「妊娠したかも」という相談が相次ぐようになった。それまでの新規相談は月20~30件だったが、3月=46件▽4月=89件▽5月=120件-と大幅に増加。10代からの相談が約8割を占め、最近では「妊娠検査薬で陽性反応が出た」というケースが増えているという。

学校が休みになって中高生が妊娠……という話題ばかりだが、結局、「望まない妊娠」をした彼女たちはどうなったのか誰も知らない。また、他の年代の女性が望まない妊娠に悩んでいないわけはないが、それは誰も興味を持たない。

UN WOMENは3月半ばにリプロダクティブ・ヘルスとDVへの懸念を示していた。
In Focus: Gender equality matters in COVID-19 response

WHOはコロナがリプロダクティブヘルスに及ぼす影響を調査している。
Research on COVID-19 and Sexual and Reproductive Health

状況が分からなければ対策の立てようもない。来年の「母体保護法統計」の数値を待つしかないのか。それでは今、困っている女性たちを救えない。