リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

『男性支配の起源と歴史』

ゲルダ・ラーナー著 奥田暁子訳 三一書房 1996年訳書発行

とんでもない本なんです! ホモサピエンスに移行した時に、女性差別の種がまかれていたこと、必然的に家父長制社会が形成されて行ったこと、その流れに女性自らが加担していったことを説明している一冊。

それだけ言うと、げんなりしてしまいそうなんですが……。

この本は、これまでの「必然」が、「今日、歴史上初めて、大勢の女性が――最終的には全女性が――従属状態から自らを解放できる状況がつくり出された」ことも、宣言している力強い一冊でもあるのです。

「私たちは過去から私たちより前に生きた人びとが行動し、考え、意図したことを学ぶだけでなく、彼らがなぜ失敗し誤りを犯したのかも学ぶ」からです。

表紙の絵があまりにも「えげつなく」て近づきがたかったのですが、よくよく見てみると、大荷物と子どもを抱えて倒れていく女性たちと、それをクールに(かっこよく?)見ている男性の姿が描かれていて、これはいくらなんでも酷いな……と思い直しました。