リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

ジェンダー平等と女性のエンパワーメント+リプロが課題

覚書:根強い女性に対する偏見と克服の道筋

2020年3月に発表された国連開発計画(UNDP)の調査報告によれば、世界のおよそ9割の男女が、女性に対して何らかの偏見を持っていることが明らかになった。75か国でインタビュー調査を受けた男女の半数が「女性より男性の方が良い政治的指導者になれる」、40%が「女性より男性の方が良い企業経営者になれる」と答えており、「男性がパートナーを殴るのは正当化される」と答える人は3割近くにものぼった。この調査報告では、すでに男女平等が達成された国は1か国もないと結論付けている。
(http://hdr.undp.org/en/GSNI; https://www.bbc.com/japanese/51763752 )

 なぜ女性が差別されるのか。その原因について一致した見解はない。シモーヌ・ド・ボーヴォワールは『第二の性』で、女性の特質とされてきたものは男性中心社会で女性に押し付けられてきたのだと考え、女性たちを男性支配の被害者と見なした。一方、ゲルダ・ラーナーは『男性支配の起源と歴史』で、歴史の始まりから女性は歴史の主体であったとする立場から、女性もまた家父長制 の創出に協力してきたのだと捉え、すでに行き詰まりを見せている家父長制を脱構築していくことに性差別を克服していく可能性を見出している。
ラーナーの著書を訳した奥田暁子によれば、「家父長制(patriarchy)という言葉は、普通、課長が家族の成員に対して絶対的な権限を持っていた封建時代のシステムとして理解されている」が、「本書では、社会の女性一般に対する男性支配という、より広義の意味で使われている。つまり、男性があらゆる制度・組織において権力を握り、女性はそのような権力へのアクセスから排除されているシステムのことを指している」。(訳者あとがきより)

 事態を打開していくためには、SDGsの目標5のみではなく、目標3.7に目を向けていくことも重要。

目標 3 あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する
3.7
2030年までに、家族計画、情報・教育、およびリプロダクティブ・ヘルスの国家戦略・計画への組み入れを含む、性と生殖に関するヘルスケアをすべての人々が利用できるようにする。

目標 5 ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る